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酒「粕」も百薬の長 酒粕X乳酸菌でお酒ともっといい関係

月桂冠総合研究所では、清酒の薬理効果との関連を実証するために、清酒とその副産物を対象に長年にわたって生理活性の探索を行ってきました。このたび、乳酸菌で発酵させた酒粕(以下乳酸菌発酵酒粕)に飲酒後の呼気アルコール濃度、血中アルコール濃度および血中アセトアルデヒド濃度を低減する効果があることを見出しましたので報告します。乳酸菌発酵酒粕は当社独自の新規醸造法で得られたタンパク質が豊富な酒粕を、乳酸菌で発酵させたものです。もともと酒粕には、コメや酵母由来の成分が多く含まれていますが、さらに乳酸菌で発酵させることにより、ペプチドやアミノ酸、有機酸などの成分がより豊富になります。

研究テーマ 乳酸菌発酵酒粕の摂取が飲酒後の呼気中および血中アルコール濃度に及ぼす影響

【目的】

図1.アルコールは胃や小腸から吸収されて血液中に入った後、肝臓の酵素で酸化されてアセトアルデヒドになります(図1)。このアセトアルデヒドは頭痛、吐き気など悪酔い症状をもたらす原因物質とされています。悪酔いを防ぐにはアセトアルデヒドの蓄積を回避し、速やかに代謝させることが必要です。

このたび、月桂冠総合研究所では、飲酒後の呼気アルコール濃度と血中アルコール濃度、さらにその代謝産物であるアセトアルデヒド、酢酸の血中濃度を測定し、当社独自の素材である乳酸菌発酵酒粕の摂取がアルコール代謝に及ぼす影響について検討しました。

【実験結果および考察】

呼気アルコール濃度測定試験

20~40才代の健康な男性19名を対象に飲酒後の呼気アルコール濃度測定試験を実施しました。まず、20mlの水または乳酸菌発酵酒粕を摂取し、10分後に清酒180ml(アルコール度数15%)を飲酒して飲酒後の呼気アルコール濃度を測定しました。飲酒後1時間から3時間の間の呼気アルコール濃度の減少量をみると、水摂取時と比較して、乳酸菌発酵酒粕摂取時にはアルコール低減効果が約15%高くなることが分かりました(図2)。

次に、乳酸菌発酵酒粕に肝臓保護やアルコール代謝を促進するといわれているオルニチンとクルクミンを配合したテスト飲料を作成し、呼気アルコール濃度への影響を調べました。その結果、水摂取時と比較して、テスト飲料摂取時は、飲酒2時間後と3時間後において呼気アルコール濃度の有意な低下が認められました(図3)。

図2.呼気アルコール減少量 図3.呼気アルコール濃度

血中アルコール・アセトアルデヒド・酢酸濃度測定試験

アルデヒド脱水素酵素が野生型(ALDH2*1/*1)で、アセトアルデヒド分解活性が強く、いわゆる酒に強いタイプの男性10名を対象に飲酒後の血液中の成分を調べました。テスト飲料は、先のテストと同様に乳酸菌発酵酒粕、オルニチンおよびクルクミンを配合し、摂取しやすいように風味づけをしたものを用いました。飲酒後1時間から3時間まで1時間ごとに採血し、血中のエタノール濃度、アセトアルデヒド濃度および酢酸濃度を測定しました。また、一般血液検査、肝機能検査、ならびに血中脂質、尿酸及び葉酸濃度についても測定しました。その結果、水摂取時と比較して、テスト飲料摂取時には、飲酒1時間後において血中エタノール濃度とアセトアルデヒド濃度の有意な低下が認められました(図4,5)。一方、血中酢酸濃度に差は見られませんでした。その他の血液検査項目においても、テスト飲料摂取の有無による検査値の差は認められませんでした(データ省略)。

図4.血中アルコール濃度 図5.血中アセドアルデヒド濃度

【研究の成果】

酒粕を乳酸菌発酵させて作った食品の摂取により、悪酔いの原因物質となるアセトアルデヒドの血中濃度を低減できることを見出しました。酒粕あるいはその発酵産物のどの成分が効果を有しているかについては、現在検討中です。今回の結果から、お酒を楽しく飲みながら飲酒後の酔いの症状を和らげることができる食品の開発などへの応用が期待されます。今後も清酒とその副産物について様々な機能の研究を進め、豊かなライフスタイルの提案につなげていきたいと考えています。

【学会発表】

  • 平成21年度 日本醸造学会大会(2009)
    「酒粕を用いた食品の飲酒後の呼気アルコール濃度の及ぼす影響」
    ○入江元子、松村憲吾、鈴木佐知子、金森洋治、秦洋二

(掲載日:2009年11月1日)

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