環境への取り組み廃棄物の削減と再資源化

食品副産物の利用と食品廃棄物の再生利用

「食品リサイクル法」(「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」、平成13年5月1日施行)は、製造、流通、外食などの食品関連事業者に、食品循環資源の再生利用を促進させるものです。食品の製造過程、売れ残りや食べ残しにより大量に発生する食品廃棄物の発生抑制と減量に努めながら、飼料や肥料などの原材料として再生利用を進めます。

月桂冠では、精米の際に出る米糠が食用油や発酵調味料の原料に使われたり、酒モロミを搾った後に残る酒粕など発生する副産物の多くを食品として利用しています。また、製造工程で出る植物性残渣など食品として利用されないものは年間約350トン(2019年度実績)発生していますが、これらについても飼料(牛の餌など)や肥料に再生利用(リサイクル)しています。

京都市では、事業者が産業廃棄物を適正に処理し、廃棄物の3R(発生抑制、再使用、再生利用)を推進、環境への負荷を低減に努めるなどの社会的な責務を果たすことを目的に、「産廃チェック制度」が実施されています。各事業場において基本的な取り組みができているかを自己チェックにより定期点検し、京都市の審査により「産廃処理・3R等優良事業場」として認定・公表されるものです。月桂冠の主力製造事業所の昭和蔵と大手蔵(いすれも京都市伏見区)も、この制度により「産廃処理・3R等優良事業場」に認定されています。

資源の減量化とリサイクルしやすい容器の使用

流通や消費段階での廃棄量を抑制するために、各種容器包装資材の減量化を進めてきました。具体的には、紙パック容器やシュリンクフィルム、カップ酒のプラスチックキャップ、外箱などを薄肉化・軽量化すると共に、ギフト商品のパッケージの簡素化、一部の商品では輸送用段ボール箱内の間仕切りも省略するなど、パーツの使用量も減らしています。 また、回収された紙パックや、充填時などに発生した損紙を原料として作られた商品ケースを使用している例もあります。

リサイクルに関しては、シュリンクラベル(ペット素材)にミシン目を入れ、容器から取り外して分別しやすく改良しました(一部の小型商品をのぞく)。みりんの容器は、リサイクル施設での分解が不要となるよう、本体と取手を同じペット素材にしています。 また、当社は「容器包装リサイクル法」に定められた特定事業者として、再商品化にかかる費用を財団法人日本容器包装リサイクル協会に拠出しています。

ガラスカップ詰めの商品「エコカップ」(210mL)を2010年9月に発売しました。容器を軽量化し、資源の有効活用やゴミの減量化など環境負荷の低減をねらった商品です。従来の容器(200mL)から、一本あたり17%分にあたる26グラムのガラス資材を削減し、同時に内容量を増すことで酒を10mL増量、210mL詰めの商品としました。一方で価格は従来のアイテムと同じに据え置きました。エコロジー(ガラス資材削減による環境への寄与)とエコノミー(増量・価格据え置きによるお客様にとっての経済性)との「ダブルエコ」をコンセプトに、当社の事業活動の中で共通価値の創造を実現したものです。

また、「エコカップ」の発売を機に「エコカップ環境保全活動キャンペーン」を、2010年9月から12月上旬までの約3か月にわたり実施しました。「エコカップ」1本をお買い上げごとに1円分、計「4,839,267円」を社団法人国土緑化推進機構「緑の募金」へ当社から寄付しました。このキャンペーンによる寄付に対して、2011年2月24日、林野庁長官から感謝状が授与されました。寄付金は森林整備や緑化推進などの活動に使われています。酒造りに用いる地下水の水源も森の緑が育んだものであり、その恵みを受けて醸した日本酒をお客様にお届けしています。

ペーパーパック(写真)に、酒パックの再生紙を使用している

灘・伏見地区の酒造会社では、「灘・伏見地区酒パック循環システム」を立ち上げ、紙パックの充填時などに発生した損紙を製紙原料として再利用することに取り組んでいます。「飲料用紙パック」「紙製容器包装」、いずれの区分のパックにも一括して対応しており、再生業者は限られていますが、紙パルプ、ポリエチレン樹脂、ペット、アルミなどを分離することにより、リサイクルが可能となっています。例えば月桂冠では、「祝米大吟醸720ミリリットルびん詰」のケースなどの原料として、回収された紙パックや工場損紙を使用しています。

もったいないゼロプロジェクト

国民生活産業・消費団体連合会(生団連)では、食品廃棄の削減を目指す「もったいないゼロプロジェクト」を推進されています。 月桂冠株式会社は生団連に加入し、「もったいないゼロプロジェクト」の活動を応援しています。

もったいないゼロプロジェクト