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月桂冠ニュース (200103_04)

2001年3月23日

麹菌から、有用タンパク質をつくる遺伝子3種を新発見
ガン治療、医薬品、バイオマス利用への応用可能

月桂冠は、酒造りに使う麹菌(こうじきん)から、有用なタンパク質「レクチン」「チトクロームP450nor」「アラビノフラノシダーゼ」の3種をそれぞれつくる新しい遺伝子を発見しました。3種のタンパク質は、それぞれ、ガン治療、医薬品、バイオマス(生物資源)の再資源化などへの応用につながる商品価値の高いものです。

〔1〕レクチン
「レクチン」は「糖」に吸着するタンパク質です。特定の「糖」には特定の「レクチン」しか吸着しない性質を利用して、ガン細胞に特有の糖の有無からガンを発見したり、薬を特定の細胞にのみ作用させる技術に応用が可能です。今回発見したのは糖の一種「フコース」に吸着するレクチンをつくる遺伝子です。

〔2〕チトクロームP450nor
P450norは、一酸化窒素を亜酸化窒素に変化させる酵素です。この化学変化を利用すると、一酸化窒素の測定・除去などに応用が可能です。一酸化窒素は生体内で、血管や筋肉の弛緩や発ガン、神経伝達などに関係していることが近年発見され、これらの機構解明に役立つことが期待できます。P450norの世界的権威である筑波大学応用生物化学系の祥雲弘文(しょううん・ひろふみ)教授との共同研究による成果です。

〔3〕アラビノフラノシダーゼ
植物の細胞壁の成分「ヘミセルロース」の完全分解に必要な酵素です。「アラビノフラノシダーゼ」を使って、藁(わら)、トウモロコシの茎・葉など廃棄されている植物のヘミセルロースを糖質に分解すれば、飼料や燃料への有効利用が可能です。

さらに今回発見した3種の遺伝子から、当社が昨年開発したシステムでタンパク質の大量生産が可能なことを確認しました。当社のタンパク質の大量生産システムは、麹菌のチロシナーゼをつくる遺伝子を用います。この遺伝子のタンパク質をつくるのを調節する部分(プロモーター)に、目的のタンパク質の設計図となる遺伝子をつなぐことにより大量生産できるシステムです。 「レクチン」「チトクロームP450nor」「アラビノフラノシダーゼ」のいずれも、通常の麹菌では微量しかつくりませんが、当社のシステムを利用すると「レクチン」と「アラビノフラノシダーゼ」は約1,000倍、「チトクロームP450nor」は約100~1,000倍の活性があることを確認しました。

これらの研究成果を3月25日、「平成13年度日本農芸化学会大会」(立命館大学衣笠キャンパス=京都市北区にて開催)で発表します。


<学会発表について>

平成13年度日本農芸化学会大会

会場 立命館大学・衣笠キャンパス(京都市北区等持院北町56-1)
開催期間 2001年3月24日から27日まで
※社団法人 日本農芸化学会
〒113-0032 東京都文京区弥生2丁目4番16号 学会センタービル内
TEL:03-3811-8789


平成13年度日本農芸化学会大会での月桂冠の発表(発表者は〇印)

〔1〕「レクチン」に関する研究
3月25日:AM9:36 ~AM9:48
A. oryzae由来フコース特異的レクチンの効率的分泌生産
○石田博樹、森谷敏康、秦 洋二、川戸章嗣、杉並孝二、安部康久、今安 聰(月桂冠総研)

〔2〕「チトクロームP450nor」に関する研究
3月25日:AM9:48 ~AM10:00
麹菌のcytochrome P450nor遺伝子の単離と機能解析
松村憲吾、○嘉屋正彦、東田克也、秦 洋二、川戸章嗣、杉並孝二、安部康久、高谷直樹*、祥雲弘文*(月桂冠総研、*筑波大・応生化)

〔3〕「アラビノフラノシダーゼ」に関する研究
3月25日:AM10:00 ~AM10:12
麹菌の新規アラビノフラノシダーゼのクローニングと諸性質の検討
小畑 浩、○松村憲吾、秦 洋二、川戸章嗣、杉並孝二、安部康久、赤尾 健*、秋田 修*(月桂冠総研、*国税庁醸研)

※このほか、2題の研究発表を行います。
3月26日AM10:00 ~AM10:12
麹菌の固体培養特異的に発現するチロシナーゼ遺伝子のクローニングと機能解析
○小畑 浩、石田博樹、秦 洋二、川戸章嗣、杉並孝二、安部康久、一島英治*(月桂冠総研、*創価大・工)

3月26日PM13:54 ~PM14:06
清酒醸造における酵母遺伝子発現の経時的変化の解析
○佐原弘師、川戸章嗣、下飯 仁*、伊藤 清*(月桂冠総研、*国税庁醸研)


<参考>
麹(こうじ):麹菌(糸状菌の一種)を穀類に生やし、酵素を分泌させたもので、日本酒、焼酎、しょうゆ、みそなど発酵食品の醸造に使われる。清酒造りでは、蒸した米に黄麹菌を繁殖させた米麹を使う。日本酒醸造に使うのは、黄麹菌(きこうじきん、学名Aspergillus oryzae=アスペルギルス・オリゼー)。

酵素:生き物の体内でつくられるタンパク質の一種で、物質を分解したり、くっつけたりする仲立ちをするもの。

月桂冠総合研究所:1909(明治42)年、「大倉酒造研究所」として発足。以来、酒造り全般にわたる基礎研究を行うと共に、防腐剤なしのびん詰酒の開発や四季醸造の確立をはじめとする醸造技術から、新規微生物の開発、製品開発まで幅広い技術開発や商品開発を行ってきた。
所長:川戸章嗣、所員25名。
住所:〒612-8385 京都市伏見区下鳥羽小柳町24番地
TEL:075-623-2130。

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