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月桂冠ニュース (200405_01)

2004年5月21日

月桂冠 麹菌の解析から研究用試薬を開発
世界初、一酸化窒素還元酵素「P450nor」を商品化

 

月桂冠は酒造りに使用する麹菌(こうじきん)から得られる一酸化窒素還元酵素「P450nor」 を研究用試薬として生産し、試薬販売で国内最大手の和光純薬工業株式会社(代表取締役社長:池添 太、本社:大阪市中央区)を通じて6月上旬から発売します(100 nmol入り、希望納入価格 30,000円・消費税別)です。本酵素が試薬として市場に供給されるのは世界で初めてです。

「P450nor」は一酸化窒素(NO)を亜酸化窒素(N2O)に還元する酵素です。一酸化窒素は生体内でシグナル伝達に関与する物質で、血管の拡張、神経・消化管系の機能維持、免疫系などに関係しています。近年では、ガンなど疾病との関連も明らかとされつつあり、医学・生命科学分野での一酸化窒素の研究は重要となってきています。本試薬が多くの研究者に用いられることで、一酸化窒素の機能・役割の研究に新たな道を開き、さらに応用の可能性が確認されれば、臨床への活用も期待されます。

当社では「P450nor」を作る遺伝子を麹菌から初めて発見し、物質として取り出すことに成功しました(2001年3月発表)。試薬は、独自に開発した麹菌タンパク質の大量生産システム(2000年3月発表)を用いて製造するもので、この方法によれば、通常の麹菌の約1,000倍量を高純度に作ることができます。

「P450nor」には以下の特徴があります。本酵素のこれらの性質に関して「第3回・国際NO学会」(5月24日~28日:奈良県で開催)で発表します。

●特徴1:一酸化窒素の生体内での役割を解明する研究では、一酸化窒素を選択的に捕捉して消去する方法などが用いられます。「P450nor」は、一酸化窒素を還元反応によって消去することが可能で、NADHと呼ばれる補酵素が存在すれば、少量で繰り返し還元することができます。その点が従来法に比べ優れていると言えます。また一般的にP450に類する酵素の反応では、電子の受け渡しを行うレダクターゼと呼ばれるタンパク質が必要ですが、「P450nor」はこれを必要とせず単独で一酸化窒素の還元反応を行うことができます。

●特徴2:「P450nor」を用いれば、一酸化窒素の酸化反応より速く還元反応が進むことが特徴です。そのため一酸化窒素が関与する生体反応の解析に「P450nor」を用いることができます。

●特徴3:従来から一酸化窒素研究に用いられてきた試薬のひとつである「ヘム蛋白」(ヘモグロビンまたはミオグロビン)を実験に供するには、一酸化窒素が結合できるよう前処理することが必要でした。「P450nor」もヘム蛋白の一種ですが、前処理は不要で、そのまま実験に用いることができます。


(注釈)

「第3回・国際NO学会」(5月24日~28日:奈良県で開催) →http://www.no2004.jp/
the 3rd International conference on the Biology, Chemistry and Therapeutic Applications of Nitric Oxide.
  • 当社の発表について
    セッション名:Plants and lower organisms
    発表番号:Presentation No.P045
    日時:5月26日(水)12:00-13:30
    場所:なら100年会館 地下1階
  • 発表タイトル
    Cloning of cytochrome P450nor gene (CYP55A5) encoding nitric oxide reductase from Aspergillus oryzae and biochemical characterization of the protein


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・お客様からの商品に関するお問合せ先
和光純薬工業株式会社 試薬学術部・大阪TEL:06-6203-1788、東京TEL:03-3270-8123
・本研究(P450nor)に関するお問合せ先
月桂冠(株)総合研究所 担当:嘉屋(かや)、TEL:075-623-2104
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