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月桂冠ニュース(200503_01) 2005年3月8日
米から酒へ・酒から米へ

酒粕を肥料に栽培した米で純米酒醸造

 

米作りと酒造りの循環から生まれた商品、月桂冠「厳選素材純米酒」(300ミリリットルびん詰)。うまみが冴える純米酒。

酒粕を主体にした有機質肥料を用いて稲を育て、収穫した米で酒を造り、その酒粕を肥料として再び土に返し、稲を育てる。月桂冠は、JA東びわこ(稲枝営農センター、滋賀県彦根市)と、循環型の農業と酒造りに1996年から取り組んでいます。
酒粕肥料で栽培された、近江産の「日本晴」を原料に醸造した純米酒を2000年に商品化し、2004年からは「厳選素材・純米酒」の商品名で販売しています。

酒粕肥料で米作り

酒もろみをしぼったあとに残る酒粕は、そのまま食材として粕汁や甘酒などを作るのに使われたり、調味料の原料や飼料として利用されています。新たなアイデアのひとつとして酒粕の一部を肥料として米作りに用い、できた米で酒造りを試みました。肥料は、酒粕を乾燥・粉砕して肥料会社に供給し、粒状に加工されたものです。酒粕には、米由来のデンプンのほか麹や酵母由来のタンパク質や繊維質など有機質を多く含み、特にタンパク質中の窒素成分が栄養素として稲の生育に消費されます。田んぼの土作りにも稲わら、もみがら等の有機物が用いられています。

米から酒へ、酒から米へ

この試みを行う滋賀県彦根市の稲枝地域は稲作農業が盛んで、国内でも早期(1967年)に穀物を貯蔵するカントリーエレベーターを設置しました。近年、全国でブランド米が売り出され、この地域でも付加価値の高い米を作りたいと考えていました。1960年代後半からこの地域の農協と月桂冠が米を取り引きするなかで、こだわりの「米作り」「酒造り」をしたいというお互いの思いが重なりました。
稲枝地域の農家は、琵琶湖の水質への影響を少なくするために、従来から有機質肥料の割合を高めるなど、環境への配慮に取り組んでおり、酒粕を肥料とした米作りを行う風土がありました。

失敗の連続

初期のテスト(1996年)では、酒粕をそのまま田んぼに撒きました。しかし田んぼ全体へ均一に撒くことができず、酒粕の大きなかたまりでは肥料としての効果も十分ではありませんでした。作業の途中で酒粕が散布機の中に詰まるトラブルも起こりました。この教訓から、翌年(1997年)は酒粕を粉末にしましたが、琵琶湖からの強い浜風で粉が飛び散り、うまく撒けませんでした。年に一度、田植え前にしかできないテストはどれも不発に終わりました。

(写真左)機械に詰まった酒粕を棒でつつきながら散布(1996年)。(写真右)粉状にした酒粕が、琵琶湖の強風で飛び散った(1997年)。

もっといい方法はないか。あきらめずに探し続け、農家や肥料メーカーに聞くうちに、粒状に加工すれば扱いやすく、施肥の効果も上げられることがわかりました。粒状化は有機肥料の加工を多く手がける朝日工業株式会社(本社・東京都)に担当していただきました。肥料として加工するには、酒粕を粉砕・乾燥してから供給することが必要でした。月桂冠ではエンジニアリングの担当者らが、ボイラー廃熱を利用した酒粕の乾燥装置を開発、エネルギーを有効に使いながら、酒粕を肥料の原料として供給できるようになりました。

(写真左)田植え時期に撒く元肥用の「スーパー有機」(左)と、稲の生育時期に撒く穂肥用の「ライスエース」の2種類を使い分ける。(写真右)田植えをしながら酒粕有機肥料を散布する。

酒粕活用実証圃で生育途上の日本晴(左)と、その収穫の様子(右)。

酒粕を有機質肥料として使うことで、酒造りに適した米ができるかどうか。稲の生育途上では、病虫害の発生や収量などが心配されましたが、無事に生育しました。米粒の重量やタンパク質、吸水性、消化性などを指標とする酒米適性値でも、従来の栽培を行った米に比べて劣りませんでした。酒粕肥料は比重が軽いため、撒く量と労力は化学肥料の2倍になりますが、農家の皆さんには継続して稲を育てていただき、施肥の方法も年々確立されていきました。
2004年度は、19農家と1営農組合が2,804俵を収穫、100パーセントが一等米の格付けとなりました(日本晴の一等比率は通常80パーセント台)。この米を用いて醸造を行い、今年も約230キロリットル(=1,300石、アルコール20%原酒換算)の日本酒を造る予定です。

琵琶湖岸道路(県道25号線)沿いに立つ酒粕有機肥料使用米栽培地区をPRする看板(滋賀県彦根市稲枝地区)。

米作り、酒造りの連携

循環型農業と酒造りは、農家、JA、肥料メーカー、酒造メーカーなど、社内外の多くの人たちが関わって、知恵を出し合いながら取り組んできたものです。月桂冠の社内でも、醸造、酒粕処理(粉砕・乾燥)、商品づくりなどの担当者が連携して取り組みました。農家からは製品が見え、メーカーからは原料の米作りと関わる人々の顔を見ることができ、米から酒へ、酒から米になるまで、お互いの仕事を超え視野が広がりました。これからも循環型社会に貢献できるよう、取り組みを進めていきたいと考えています。

(2008年4月1日更新:商品画像変更、関連情報追記)

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