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「酒粕分解ペプチド」が肝臓でのコレステロール合成を抑制
月桂冠総合研究所が確認

2016年3月23日

月桂冠総合研究所は、酒粕のたんぱく質を分解処理して生じた「酒粕分解ペプチド」に、肝臓でのコレステロール合成を抑制する機能があることを確認しました。「酒粕分解ペプチド」中の成分が、コレステロール合成酵素(HMG-CoA還元酵素)をつくる遺伝子の働きを抑えることで、血液中のコレステロール濃度を低下させることを見出したものです。この成果は、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻病態生化学研究室と月桂冠総合研究所との共同研究によるもので、「日本農芸化学会」2016年度大会において、3月28日、発表します。

今回の研究では、「酒粕分解ペプチド」を0.1%添加してヒトの肝細胞を培養し、無添加の場合と比べると、コレステロール合成酵素をつくるために働く遺伝子が5分の1に減少することを確認しました。同様に、ヒトの肝細胞を培養し、そこで作られた酵素群の検出(ウエスタン・ブロッティング)を行ったところ、「酒粕分解ペプチド」を添加したサンプルでは、コレステロール合成酵素の産生を抑制していることが確認できました。

生体内のコレステロールは肝臓で合成される割合が高く、食物から吸収される量の3倍にもなると言われています。血液中のコレステロール濃度を下げるものとしては、コレステロール合成酵素の働きを弱める薬剤が知られています。今回、肝臓でのコレステロール合成を抑制する機能が確認できた「酒粕分解ペプチド」は、心筋梗塞や狭心症など、コレステロールが介在して発症する虚血性心疾患の罹患リスク低減に寄与するものとして、医薬品への応用が期待できます。また、食品として摂取できる点で利用しやすく、機能性食品などへの活用が期待できます。

◆学会での発表

学会名 日本農芸化学会 2016年度大会
発表日時 2016年3月28日 (月)14:15-15:15(ポスター発表コアタイム)
会場 札幌コンベンションセンター(札幌市白石区東札幌6条1丁目1-1)
演題 「酒粕由来のHMG-CoA還元酵素抑制物質」(演題番号:2E054)
研究・発表者 【月桂冠総合研究所】○大浦 新、入江 元子、堤 浩子、秦 洋二
       【京都大学大学院医学研究科】久保 緋紗子、山本 康子、※齋藤 邦明
       (※印は現・京都大学名誉教授、現・藤田保健衛生大学医療科学部教授)
       (○印は演者)

◆月桂冠総合研究所について

1909(明治42)年、11代目の当主・大倉恒吉が、酒造りに科学技術を導入する必要性から設立した「大倉酒造研究所」が前身。1990(平成2)年、名称を「月桂冠総合研究所」とし、現在では、酒造り全般にわたる基礎研究を行うと共に、バイオテクノロジーによる新規技術の開発、製品開発まで幅広い研究に取り組んでいます。
(所長=秦 洋二、所在地=〒612-8385 京都市伏見区下鳥羽小柳町101番地)

※ニュースリリースに掲載している情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは、異なる場合があります。