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イッキ飲みがいけない理由を教えてください 血中アルコール濃度が急上昇、一気に危険な状態に

イッキ飲みがいけない理由を教えてください
血中アルコール濃度が急上昇、一気に危険な状態に

飲み方・使い方を知る - 酒と正しくつきあう

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イッキ飲みがいけないのは、大量のアルコールを短時間で摂ると血中のアルコール濃度が急激に上昇し、危険な状態を引き起こすことがあるためです。これを「急性アルコール中毒」といい、血中アルコール濃度が0.4から0.5パーセント以上になるとその半数が1~2時間後に死亡しています。決してイッキ飲みはしない、させないことが大切です。

特に日本人は遺伝的に酒に弱い体質の人が多くみられる中、イッキ飲みは、非常に危険な飲み方であることをわきまえなければなりません。

急性アルコール中毒

血中のアルコール濃度が最高に達するまでには飲酒してから30~60分ほどかかります。ところが、大量のアルコールを一時に摂ると血中のアルコール濃度が急激に上昇し、一気に「泥酔」「昏睡」状態になり、場合によっては呼吸困難となり、急性アルコール中毒の危険な状態を引き起こします。東京都内では、急性アルコール中毒になり、救急車で病院に運ばれた人が年間約1万人にも達すると言います。10年間で67名が急性アルコール中毒で亡くなられています。

酔っ払い

酔いのメカニズム

酒を飲むと、アルコールは胃や腸で吸収されて血管へまわります。血液中のアルコール濃度が高くなるにつれて酔いが回ってきます。アルコールは、人間の意識や精神活動など理性をつかさどる大脳皮質(脳の表層に所在)に麻酔作用をおよぼし、コントロールを変調させていきます。それに従い、平常時には大脳皮質の働きに抑制されていた大脳辺縁系という、人間の本能や情緒活動など感情をつかさどる部分の働きが活発になります。こうして酔いが進むにつれ、思考力・判断力が鈍くなり、感情があらわになっていきます。酔うと泣いたり、怒ったり、笑ったりするのはこのためです。
酔いはアルコールの麻酔作用によるものです。麻酔作用の段階は、第一期(痛覚低下期)・第二期(興奮期)・第三期(外科麻酔期)・第四期(延髄麻酔期)の4期に分かれます。手術に用いられる「麻酔」は第一期、第二期が短く、第三期の時間が長いのに対して、「アルコール」は第一期から第二期の時間が非常に長く、第三期が短いという麻酔作用を示します。つまり、初期(第一期、第二期)の軽い麻酔で精神的な抑制が解かれることによって、興奮状態が表面化することがアルコールによる酔いの正体です。

血中アルコール濃度と酩酊度

アルコールは、麻酔作用により脳を麻痺させることで酔った状態をつくり出します。酔いの程度は脳内のアルコール濃度によって決まります。しかし、実際に脳内のアルコール濃度を測ることはできないため、脳内のアルコール濃度と平衡関係にある「血中アルコール濃度」が、酩酊度を知る最も有力な指標であるとされています。「呼気中のアルコール濃度」は「血中アルコール濃度」とほぼ平衡しているので、飲酒運転の判定などに利用されています。

次の表は、血中アルコール濃度と酩酊度との関係を示したものです。

血中アルコール濃度 区分 臨床症状 酒量
0.02~0.04% 爽快期 気分さわやか。
活発な態度をとる。
日本酒(~1合)
ビール(大瓶~1本)
ウイスキー(シングル~2杯)
0.05~0.10% ほろ酔い初期 ほろ酔い気分。脈拍数、呼吸数早くなる。
話はなめらかになり、抑制が外れる。
日本酒(1~1.5合)
ビール(大瓶1~2本)
ウイスキー(シングル2~5杯)
0.11~0.15% ほろ酔い極期 気が大きくなり、自己抑制が外れる。
立てば少しふらつく。
日本酒(2~3合)
ビール(大瓶2~3本)
ウイスキー(シングル6~8杯)
0.16~0.30% 酩酊極期 運動障害が出現する。まともに歩けない。(千鳥足)
呼吸促拍、嘔気、嘔吐
日本酒(4~5合)
ビール(大瓶5~7本)
ウイスキー(シングル8~10杯)
0.31~0.40% 泥酔期 歩行困難。転倒すると起きあがれない。
意識混濁、言語支離滅裂。
日本酒(7~8合)
ビール(大瓶8~10本)
ウイスキー(ボトル1本)
0.41~0.50% 昏睡期 昏睡状態。屎尿失禁。
呼吸麻痺をきたし、死亡する危険大
日本酒(1升以上)
ビール(大瓶10本以上)
ウイスキー(ボトル1本以上)

社団法人アルコール健康医学協会 『適性飲酒の手引き』 (1991年)より

アルコール依存症(アルコール使用障害)

依存性とは薬物に対する効果を求めたり、それがない場合の苦痛から逃れるためにその薬物を継続的に使用したときの抑えきれない欲求を起こさせる性質のことをいいます。アルコールは「依存性」のあるものという点では、コカインやヘロインなどの向精神薬と同様です。
アルコール依存症は病気の一つですから治療が必要です。治療には専門の医療機関への通院と自助グループへの参加、抗酒剤の服用などという方法により断酒することが不可欠です。
「アルコール依存症」の病名については、「アルコール使用障害」として、関連の症状と共に包括して呼称するよう変更されるとの指針が日本精神神経学会から公表されています(2014年5月)。

精神的依存と身体的依存

【精神的依存】:アルコール依存症になると酒を飲みたいという欲求が抑えられなくなります。このような状態を「精神的依存」があるといいます。この状態がひどくなると昼間や仕事中など、どんな時でも酒を飲むようになり、飲むために家族や職場の人などに対してうそをついたり粗暴にふるまったりするようなことも起こってきます。

【身体的依存】:アルコール依存症がすすむと、アルコールが切れるとイライラしたり、冷や汗、手の震え、不眠などの症状があらわれたりします。これはアルコール離脱症状、退薬症状あるいは禁断症状と呼ばれ、長時間アルコールにさらされている人が、アルコールの飲用をいったんやめて体内のアルコール濃度が低くなったとき、アルコールによる抑制効果に対抗していた神経の過剰活動が現れるためにおこります。 アルコール依存症患者はこの症状を抑えるため、また酒に手を出してしまいます。このような状態のことを「身体的依存」があると呼び、ひどくなると全身けいれん発作が起こったり、実際にはいない小さな虫がたくさん見えたり、幻聴をきいたりといったような重い症状が現れます。

現在日本では200万人以上のアルコール依存症患者がおられ、その数は年々増え続けています。アルコール依存症はその患者だけでなく家族や周りの人々も不幸にしてしまう病気です。そのような患者を増やさないためにも適量飲酒を心がけねばなりません。

【主要参考文献】
  • 栗山欣哉・大熊誠太郎 「アルコールの代謝と薬理作用(生体影響)」 『アルコールと栄養』 光生館 (1992年)
  • 逸見武光 「酒と精神医学」『東京大学公開講座・酒』 東京大学出版会 129-158(1976)
  • 日本酒造組合中央会 「特集:酒と健康」『酒造情報』(1978)
  • 社団法人アルコール健康医学協会 『適性飲酒の手引き』(1991)
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