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のれん

酒を「百薬の長」と言われる理由
適量飲酒で肝臓に負担をかけすぎない食生活を

よくいただくご質問 - [Q&A]健康、成分、適量、カロリー

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「酒は百薬の長」とは中国古代の史書『漢書』から出た言葉です。適した温度で香りとコクを楽しみつつ、ゆったりとした気分で適量を飲めばストレスを解消し、心を安らかにしてくれます。

酒を「百薬の長」とするために

酒を「百薬の長」とするためには、肝臓を疲れさせないよう、負担を少なくすることです。そのためには、脂の少ない肉、魚、豆腐など、肝臓に活力を与える高タンパク、高ビタミンの肴を摂りながら飲むのが良いでしょう。日本酒を1日に1から2合、刺身や焼き魚、豆腐などの和食を肴に嗜む(たしなむ)という昔ながらの飲酒パターンは、理に適った知恵と言えそうです。アルコール度数の高い酒を一気に飲んだり、空腹時に何も食べずに飲んだり、また脂肪分の多い肴を摂り過ぎると肝臓に大きな負担をかけてしまいます。

ヌーベル月桂冠

適量飲酒は長寿の源

イギリスの医学者マーモット博士は、飲酒量と全死亡率との関係を10年間にわたって調べました。その結果は、「全くお酒を飲まない人」や「大量に飲む人」に比べ、「適量の飲酒をする人」は長生きするというものでした。

その理由は適度のアルコールを飲むことによって心臓病などの循環器系疾患の発病を抑えられるためだと言われています。虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)が予防されるのは、アルコールには善玉コレステロール(HDL)を上昇させる作用、血小板の凝集を抑制する作用、さらにはストレスを軽減する作用があるためだと考えられています。
マーモット博士以外にも、多数の科学者が飲酒量と死亡率の関係を統計的に処理し、虚血性心疾患の予防に有効なアルコール量を算出しています。これらの結果から導き出された適当な飲酒量は、個人差はありますが【日本酒で1日1合から2合】、【ビールなら大びん1本から2本】と言われています。

「酒は百薬の長」を探る

日本酒や酒粕についての機能性が解明されつつあります。これまで、血圧降下、粗鬆症防御、アレルギー抑制、糖尿病予防、健忘症の予防、老化防止、肝障害予防、保温・保湿などとの関係について確かめられてきました。機能性に関与する有効成分が何であるか、その探索も進んでいます。日本酒は発酵を経て700種類以上という多種多様な成分が醸し出されます。その中には原料の米の段階にはなかった機能性を持つ成分が含まれています。発酵の途上では、麹菌、酵母という2種類の微生物の働きで米の成分が機能性物質に変換され、さらに生産された物質どうしが化学結合することで機能性の幅を広げています。

甘酒

酒粕ペプチドにさまざまな機能性

酒モロミを液状化して仕込む独自の清酒醸造法で得られた酒粕には、通常の酒粕に比べてタンパク質の含有量が約2倍と豊富に含まれる点に着目し、機能性食品としての利用を視野に研究を進めています。この酒粕にタンパク質分解酵素を作用させると、アミノ酸がいくつか連なった構造のペプチドに断片化し、体内に吸収されやすくなることも機能性食品としての利点になります。これまでの研究で、この「酒粕ペプチド」には、アンギオテンシン変換酵素の働きを阻害することで血圧を降下させる機能性があることや、肝機能を保護し肝障害を予防する機能が見られることなどを明らかにしてきました。

血圧降下作用

月桂冠では、酒濃縮液や酒粕中に、血圧上昇の抑制と関係の深いペプチドを発見しました。このペプチドは、生体内の肺や血管内皮細胞などに存在し、血圧上昇に関わるアンジオテンシン変換酵素(ACE)の働きを阻害して、血圧を低下させる作用を持つものです。
ラットを用いた投与試験やヒトへの経口摂取試験でも、血圧を低下させる効果を確認しました。酒粕由来のペプチドには、医薬品のように急速な血圧降下作用はなく、1から2ヶ月にわたって緩やかに血圧を低下させ、服用終了後も一定期間、効果の残存性が認められました。そのことから、酒粕由来ペプチドはACE活性を阻害する直接的な働き以外に、血圧上昇を防止する体質改善のような働きに関係すると考えられています。

研究リポート:酒「粕」も百薬の長 酒粕から血圧を下げるペプチド(月桂冠総合研究所)

肝障害予防

月桂冠では、酒粕を酵素分解して生じたペプチドに肝機能を保護する機能性があることを明らかにしました。酒粕ペプチドには、抗酸化活性を有するペプチドが17種類含まれており、抗酸化活性に寄与する主要なペプチドは、アミノ酸2または3個からなるものが多く、抗酸化ペプチドとして医薬品にもなっているグルタチオンと同等の活性を有していることも確認しました。肝臓は生体内で過剰な活性酸素や過酸化脂質が集中する臓器であることから、抗酸化活性は肝臓機能を保護する上で重要と考えられています。酒粕ペプチドをマウスに経口摂取させて肝障害予防効果を検証したところ、肝障害の指標となる酵素(GPT、GOT)の有意な減少が確認できました。

酒粕分解ペプチドに肝障害予防効果を確認(月桂冠ニュース:2010年5月13日)

乳酸菌発酵酒粕にさまざまな機能性

酒粕を、乳酸菌・ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)で発酵させて「乳酸菌発酵酒粕」をつくり、健康に関係する機能について調べました。乳酸菌発酵酒粕をマウスに与える実験では、肥満、健忘症、脱毛抑制に関係する機能性を有することを確認しました。酒粕を乳酸菌で発酵させることにより、さまざまな機能性を持つペプチドが増強されるものと考えられています。

乳酸菌で発酵させた酒粕で、肥満・健忘症・脱毛を抑制(月桂冠ニュース:2007年5月18日)

甘酒の機能性

甘酒は古くから栄養価の高い飲み物として親しまれてきました。最近ではジャパニーズヨーグルトとも呼ばれ、健康との関係も注目されています。甘酒には原料の酒粕と米麹、それぞれの生理活性成分による機能性が期待されるだけでなく、相乗的に効果が増大されることも考えられています。月桂冠では、甘酒のもつ抗肥満、血圧上昇抑制、健忘症抑制の3つの機能性を、マウスを用いた実験により証明しました。甘酒の機能性健康飲料としての可能性が期待されています。

研究リポート:江戸から続く健康飲料甘酒の知らざれる力(月桂冠総合研究所)
日本酒メーカー月桂冠がご紹介したい、甘酒の美容と健康(月桂冠総合研究所)

日本酒や酒粕料理の美味しさと共に、秘められたさまざまな効用も取り入れて、適量飲酒で健康的な食生活を築いていきたいものです。

【参考・引用文献】
  • Marmot MG, Rose G, Shipley MJ, Thomas BJ
    「Alcohol and mortality: a U-shaped curve」
    Lancet 1981 Mar 14; 1(8220 Pt 1) 580-3
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6110820
  • キングスレー・エイミス、吉行淳之介・訳 『酒について』 講談社 1982
  • 栗山欣哉・大熊誠太郎 「アルコールの代謝と薬理作用(生体影響)」 『アルコールと栄養』 光生館 (1992年)
  • ジューニアス・アダムス(木下秀夫・訳) 『アルコール健康法』 光文社 1977
  • 田中潔 『アルコール長寿法 - 晩酌のすすめ - 』 共立出版 1985
  • 松木康夫 『百楽の長 酒と上手につきあう秘訣 - 毎日飲んで健康でいられる10ヶ条』 大和出版 1992
  • 斉藤義幸 「清酒の副産物の新しい生理機能」『日本醸造協会誌』 87(10) 705-710 1992
  • 光岡知足 『腸内菌の世界』 叢文社 1980
  • 太田剛雄、高木秀春、轟康一・岩野君夫、大場俊輝 「清酒中に存在する抗酸化物質」『日本醸造協会誌』 87(12) 922-926 1992
  • 澤野泰治 「グルタチオン含有清酒の開発」『清酒酵母の研究』 清酒酵母研究会 128-133 1992
  • 印南敏、桐山修八 『食物繊維』 第一出版 1982
  • 芦田優子、斉藤義幸、川戸章嗣、今安聰 「米由来の食物繊維の性質と機能」『日本農芸化学会誌』 66(8) 1233-1240 1992
  • 奥田拓道、前田信治 酒造副生産物(酒粕)に関する研究・報告書』 日本酒造組合中央会委託研究 1992
  • 清水章史、山田秀明 「清酒酵母を用いるアデノシルメチニオンの生産」『清酒酵母の研究』 清酒酵母研究会 163-168 1992
  • 阿部啓子、荒井綜一 「コメ種子のシステインプロテアーゼインヒビター・オリザシスタチン」『植物細胞工学会誌』 3 193-199 1991
  • 日本食品工業倶楽部・編 『食品の栄養と生体機能』 クリエイティブジャパン 1991
  • 逸見武光 「酒と精神医学」『東京大学公開講座・酒』 東京大学出版会 129-158 1976
  • 日本酒造組合中央会 「特集:酒と健康」『酒造情報』 1978 ・キリンビール(株)、キリンシーグラム(株) 『お酒と健康ABC辞典』 1996
  • 今安聰・編著 『秘められた清酒のヘルシー効果』 地球社 1997
  • 社団法人アルコール健康医学協会 『適性飲酒の手引き』 1991
  • 秦 洋二 「日本酒の機能性~解明されつつある酒は百薬の長~」 『食品工業』 (2007年4月15日)
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