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糖質ゼロ・プリン体ゼロ

糖質ゼロ・プリン体ゼロの日本酒、超淡麗の味わいで軽快な飲み口
「ウォッシュ効果」による料理との幅広い相性

清酒を知る - さざまな酒のタイプ

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糖質・プリン体・カロリーオフの飲食品が次々と上市される中で、月桂冠では糖質ゼロとプリン体ゼロのふたつのゼロを実現した日本酒を商品化しています。月桂冠「糖質・プリン体Wゼロ」は、発酵工程で糖質やプリン体のカット率を高めて限りなくゼロにしており、超辛口・超淡麗で、すっきりした辛口、軽快な飲み口が特徴となっています。糖質やプリン体の摂取量を気遣う健康意識の高い方に加え、飲み口の軽快さから日本酒をたしなむ機会の少なかった方、辛口のお酒を好まれる方にもおすすめできます。また食事中の飲酒により口の中をすっきりさせる「ウォッシュ効果」が、一般的な日本酒に比べて高いことも確認されています。

「糖質・プリン体Wゼロ」の味わいは、従来の日本酒とかなり違いますが、どうしてでしょうか?

酒に含まれる糖質を限りなくゼロにしているからです。
糖質は日本酒の味わいを形成する主要な成分で、甘味や旨味などをもたらします。月桂冠「糖質・プリン体Wゼロ」は、この糖質をほとんど含まないようにすることで、ひじょうにあっさりした超辛口・超淡麗の味わいとしています。
もともと、飲食品の糖質摂取量を気にされるお客様の選択に対応するために開発した酒質であり、従来の日本酒の味わいとは異なって感じられるかもしれません。

「糖質・プリン体Wゼロ」と名付けているが、少しは糖質やプリン体が残っているのでしょうか?

微量の糖質、プリン体が残っています。
月桂冠「糖質・プリン体Wゼロ」では、100ミリリットルあたりの糖質量が「0.5グラム未満」(※1)、プリン体量が「0.5ミリグラム未満」(※2)です。
なお、一般的な日本酒に含まれる糖質量は100ミリリットルあたりおよそ「4.6グラム」、プリン体量は100ミリリットルあたり「1.0ミリグラム」です(月桂冠「つき」の場合)。

糖質 プリン体 ※1:食品表示基準に基づき100ミリリットルあたりの糖質が0.5グラム未満を糖質0(ゼロ)と表示しています。
※2:100ミリリットルあたりプリン体0.5ミリグラム未満をプリン体0(ゼロ)と表示しています。

日本酒の「糖質ゼロ」と「糖類無添加」とでは何が違うのですか?

日本酒の「糖質ゼロ」は、酒に糖質ができるだけ残らないように発酵させて造っています。発酵工程で糖質のカット率を高めて限りなくゼロにすることにより、超辛口・超淡麗の味わいとしています。
一方、 「糖類無添加」とは、経済酒など低価格帯の日本酒製造において、味付けの目的で用いられることもある醸造用糖類を原材料として使用していないことを指します。
糖類無添加の日本酒には、醸造用糖類が原材料として使われていませんが、発酵途上で原材料から溶け出す糖類は含まれます(米のデンプンが麹の酵素によって糖類に分解)。そのため「糖質ゼロ」とは意味が異なります。

<糖質><糖類>とはそもそもどのような成分ですか?

<糖質>とは、栄養表示基準で「当該食品の重量から、たんぱく質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量を控除して算定する」とされています。日本酒では、これら測定された成分以外に、米のデンプンからブドウ糖への分解途上の多糖類、酵母が生産する酸味物質(有機酸)など、分解しきれずに残った中間物質が「糖質」としてカウントされています。
<糖類>とは糖質の一部であり、ブドウ糖や果糖、砂糖、乳糖、麦芽糖などのことを指します。ブドウ糖や果糖は糖の基本単位であり「単糖類」と呼びます。砂糖、乳糖、麦芽糖は「二糖類」と呼ばれ、単糖類が二つつながった分子の構造となっています。これら「単糖類」と「二糖類」をあわせて<糖類>と呼びます。

<プリン体>とはそもそもどのような成分ですか?

<プリン体>は、肉、魚、野菜、穀物など食品全般に含まれており、体内で分解後、尿酸として排出されますが、摂り過ぎて蓄積されると痛風などにより健康を損なう危険があると言われています。アルコール飲料にもプリン体が含まれており、その多さはビール、発泡酒に次いで日本酒の順となっています(※3)。
※3:日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版)』

「糖質・プリン体Wゼロ」は、糖質制限食の一つとして有効でしょうか? 糖尿病患者の飲用は可能でしょうか?

特に病中の方については、飲酒しても良いか、糖質制限食として健康管理に取り入れてよいかなどを医師にご相談の上でご判断ください。
月桂冠「糖質・プリン体Wゼロ」は発酵工程で糖質のカット率を高めて限りなくゼロ(100ミリリットルあたりの糖質が0.5グラム未満)にした日本酒ですが、アルコール飲料である点を考慮することが必要です。

「糖質・プリン体Wゼロ」は、どのような料理にマッチしますか?

幅広い料理との相性

月桂冠「糖質・プリン体Wゼロ」は、和食、洋食、中華のいずれの料理にもマッチし、幅広い料理との相性が良い日本酒です。
「糖質ゼロ」の開発当初には、健康的な食卓を提案するために、例えば和食系の料理や野菜など、あっさりしたカロリーの高くなり過ぎない酒肴や食事に合わせて飲む酒をめざしました。その後の研究により、「糖質ゼロ」は、食事中の飲酒により口の中をクリアにする「ウォッシュ効果」が、一般の日本酒に比べて高いことが明らかになっています。ウォッシュ効果により、舌に残った料理の味の成分をクリアにして、二口目、三口目の味わいを最初の一口目の味わいのように新鮮にさせます。その効果は料理を選ばす幅広いメニューに見られ、後味のバランスを保ちながら口の中をすっきりさせる、食べ物の味の余韻をふくらませるなど、料理との相性を高める効果も見られました。

料理を選ばない

あっさりした和食、しっかりしたコクの西洋料理、こってりした中華料理のいずれの料理でも、「糖質ゼロ」の日本酒は一般の日本酒に比べて高いウォッシュ効果が見られ、幅広い料理と相性が良いことがわかりました。

後味のバランスを保ちながら口をすっきりさせる

他の酒類(焼酎の水割り)と比べて、後味のバランスを保ちながら口の中をすっきりさせる傾向が見られます。舌に残った特定の味の成分だけを洗い流すのではなく、「糖質ゼロ」は味の各成分をバランスよく全体的にリフレッシュさせます。

食べ物の味の余韻をふくらませる

他の酒類(焼酎の水割り)と比べて、食べ物のあと味の余韻をふくらませ、味わいを引き出します。

「糖質・プリン体Wゼロ」を料理酒として使っても大丈夫ですか?

糖質・プリン体Wゼロの日本酒を料理にご利用になっても、味わいや調理効果をそこなうことはありません。糖質・プリン体をカットしない日本酒を使った場合とくらべても、料理の味に対する違和感はありません。

糖質摂取量を制限中で、お食事の摂取量計算が必要な場合は、月桂冠「糖質・プリン体Wゼロ」を料理にご利用いただくと、日本酒に含まれる糖質の分量は計算が不要です。

月桂冠「糖質ゼロ」「プリン体ゼロ」開発の歩み

日本酒で初めて「糖質ゼロ」を商品化

月桂冠の「糖質ゼロ」は、独自の「糖質スーパーダイジェスト製法」(GSD製法)により製造し、糖質を限りなくゼロにして飲み口を軽快にしつつ、旨味をできるだけ残して従来の日本酒らしさを保った商品です。月桂冠ではこれまで、2004年9月にカロリー2割(糖質は3割)カット、08年3月に糖質85%カットの日本酒を発売してきました。糖質の摂取量を気遣う健康意識の高い方などのニーズに対応しようと、継続して研究開発を進める中で糖質のカット率を高め、08年9月、日本酒で初めての「糖質ゼロ」を新発売しました。
以来、今日までの間に、糖質ゼロを醸造する新たなノウハウを蓄積し、品質の向上を継続、年々、製法を進化させ、味わいを高めてきました。その一連の製造技術は、「糖質スーパーダイジェスト製法」「後味スッキリ製法」などの特許製法となっています。「糖質スーパーダイジェスト製法」(特許第4673155号、2011年1月28日登録)は、麹による糖質の分解力を強化すると共に、酵母の発酵力を持続させることにより「糖質ゼロ」を実現した基本となる製法です。
「後味スッキリ製法」(特許第5851957号、2015年12月11日登録)は、糖質の分解と酵母の発酵をバランスよく進めることで糖質を徹底的に低減させ、すっきりした味わいを醸す製法です。日本酒の糖質を低減する製法特許は、月桂冠だけが取得しています。

「糖質ゼロ」の醸造に用いる酵母▲「糖質ゼロ」の醸造に用いる酵母

酵母菌▲月桂冠総合研究所では酵母菌を冷凍保存し、研究開発、そして実地の醸造で活用している

「糖質スーパーダイジェスト製法」とは

日本酒の醸造では、原料米の「デンプン」が糖質へと分解されていきます[図中(1)(2)]。その過程では、「オリゴ糖」を経て[図中(3)]、最小単位の「ブドウ糖」まで順次分解されていきます[図中(4)]。酵母は「ブドウ糖」を栄養として体内に取り入れてアルコールを造り出しますが、「オリゴ糖」のままでは栄養にすることができません。そのため通常は、酒中に「オリゴ糖」など分解途中の糖質が残ります。さらに、発酵の後期にはモロミのアルコール濃度が高まるため酵母の働きが弱まり、「ブドウ糖」をアルコールへと変換する力が低下するのです。

デンプンからブドウ糖への分解▲デンプンからブドウ糖への分解

そこで、糖質ゼロの製造においては、麹が米のデンプンやオリゴ糖を分解する力を強化し、糖質を徹底的にブドウ糖へと分解させます。発酵後期までアルコール発酵力を持続できる酵母を選抜し活用しています。発酵の途上では成分分析をきめ細かに行い、その分析値をもとにした発酵条件のシミュレーションにより、温度などの条件を細かく調整することで「糖質ゼロ」の日本酒を安定して醸造できるようにしました。 この製造方法を「糖質スーパーダイジェスト製法」を名付けました。「ダイジェスト」には、「消化する」「短くする」などの意味があり、残存する糖質を極限まで分解して酵母に消化させることで、今までにないスッキリした超辛口・超淡麗の日本酒の商品化を実現したことを、製法の名称に表現したものです。

日本酒で初めての「プリン体低減特許製法」

月桂冠では、日本酒で難しかったプリン体を低減する製法の開発を進め、日本酒の仕上げ工程でプリン体を吸着除去するのに最適な法則を見出すことに成功しました。その技術が日本酒で初めてのプリン体低減特許製法として登録されました(特許第5302377号、2013年6月28日登録)。さらに、糖質オフの日本酒をベースに、香味を維持しながらプリン体がカットされた日本酒の開発を進めました。その技術は、特許としても登録され(特許第5824180号、2015年10月16日登録)、2017年8月には「糖質70%オフ・プリン体ゼロ」を新発売しました。

月桂冠独自技術の結集、「糖質・プリン体Wゼロ」を実現

月桂冠「糖質・プリン体Wゼロ」は、「糖質スーパーダイジェスト製法」でオリゴ糖やグルコースなどの糖質をカット、「後味スッキリ製法」で残った糖質を極限までカット、さらに「プリン体カット製法」などによりプリン体をゼロにした日本酒として開発したものです。これらの月桂冠独自技術の結集により、糖質・プリン体Wゼロを実現し、2022年3月に商品化しました。

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