京の日本酒と和菓子

VOL.01「鳳麟」純米大吟醸と「木ノ芽琥珀」

「鳳麟」純米大吟醸と「木ノ芽琥珀」
青白磁盃(木村宜正作)、銀彩注器(大木幹元作)、栗材プレート(鈴木直彦作)/
器協力「うつわ屋めなみ」京都市北区小山花ノ木町15 TEL:075-493-4353

かつて城の外濠だった川沿いに、木造の古い酒蔵が並ぶ伏見。ここは京都屈指の酒どころ。洗練を重ねてきた京都の酒はここで生まれる。同じように職人の技と伝統が生きる京の和菓子と合わせたらどうだろう。これが合わないわけはない。
今回選んだのは、月桂冠の純米大吟醸「鳳麟(ほうりん)」。なめらかな口当たりと華やかでありながら上品な吟醸香がたまらない酒だ。酒造好適米の兵庫産山田錦を麹米に、北陸産五百万石を掛米に用い、米粒を50%にまで磨いて醸造される。「酒は、厳しく育てるほどよい」。大手一号蔵の醸造責任者、高垣幸男さんによると、低温で仕込み、1ケ月間じっくり発酵させることが、この吟醸香の決め手となるそう。この逸品は、四季醸造システムで真夏を除いて生産されている。

大手一号蔵 醸造責任者 高垣 幸男

造り手

醸造部
大手一号蔵 醸造責任者

高垣 幸男

この「鳳麟」に、琥珀菓子「木ノ芽琥珀」を合わせてみる。お茶人の間で秘かに知られる2〜6月初旬限定の寒天菓子。「霜月(そうげつ)」主人水田良明さんが妻の実家の山椒の木を利用できたら、と創作した。
上面に天然の山椒の葉をあしらい、透明な琥珀には実山椒の小さな粒もほんの少し。外側は歯触りがあるが、噛むとやわらかく、ほのかな甘みに山椒の風味が心地よい。

季節限定「木ノ芽琥珀」/霜月

京都市北区西賀茂榿ノ木町5
TEL:075-491-5556

季節限定「木ノ芽琥珀」/霜月

続けて「鳳麟」を口に含む。すると、木ノ芽琥珀の上品な甘みと清涼感が「鳳麟」のコクとひとつに溶け合い、丸味ある吟醸香がふわりと鼻に抜ける。「鳳麟」の濃醇さと「琥珀」の甘味の見事な調和。品格で伍する者同士、お互いが風味を高め合う。さすが、薄あじ、濃いあじともに相性がよい食中酒。相手を引き立てる力を備える銘酒である。
新緑の季節、「鳳麟」と「木ノ芽琥珀」を交互に口に含みながら、ほろ酔い気分でまったりと休日の午後を過ごすのもよさそうだ。

「鳳麟」純米大吟醸

「鳳麟」純米大吟醸

華やかな吟醸香と、なめらかなのどごしの純米大吟醸酒。

甘辛:やや辛口 濃淡:やや濃醇
ハンケイ500m

(VOL.037)2017年5月11日発行

  • 当ページに掲載している情報は、誌面掲載当時のものです。最新の情報とは、異なる場合があります。
ページのトップへ