商品戦略

技術革新によるシーズと、
市場の潜在ニーズから
カテゴリを開拓。
営業推進部 企画宣伝課 課長
田中 喜直
(※所属部署・役職は取材当時のものです)

新しい日本酒の形をマーケットインの開発手法で模索。

月桂冠の商品戦略の特長としては、どのような点が挙げられますか?

独立したマーケティング課があることではないでしょうか。以前は企画宣伝課でマーケティング分析もおこなっていたのですが、販売の中心が従来の問屋から小売にシフトした現在では、店頭実現営業に注力する必要がありました。そこで2012年にマーケティング課を独立させ、専門スタッフが組織的にマーケティング活動をおこなうことで、ニーズの抽出精度を高め、店頭実現営業を通した販売サポートにつなげています。

今後は、どのような商品開発が求められるでしょうか?

人口減・高齢化などによって酒類市場も例に漏れず縮小傾向にあり、それは日本酒も例外ではありません。これからはどのような日本酒が求められるのかを、しっかりと考えていく必要があります。メーカー主導でつくるプロダクトアウトではなく、お客様の潜在ニーズをとらえたマーケットインの開発手法が重要になってくる。マーケティング課の独立には、そうしたニーズを開拓していきたいという狙いもあります。同時に技術革新によるシーズの創出によって、いかに競合に対する優位性を図っていくかというのも必要になります。コモデティ化していくなかで、技術革新による脱却ができなければ、どうしても疲弊は避けられませんから。他社が追従できない商品を開発し、市場を作り上げるというのが理想です。もちろん、簡単にできることではありませんが。

『月桂冠NEWフリー』の病院サンプリングに大きな反響。

ノンアルコールの日本酒テイスト飲料『月桂冠NEWフリー』が話題です。

2014年に発売したアルコール0.00%の『月桂冠フリー』について、さらにカロリーと糖質をゼロに抑えて2015年に発売したのが『月桂冠NEWフリー』です。他社がなかなか追従できない新商品という意味では、その好例ではないでしょうか。ビールやチューハイについては、すでにノンアルコールが定着しつつありましたが、日本酒の市場では未開拓の分野。過去にもノンアルコール商品はあったのですが、なかなか浸透しないところがありました。そこにあらためて取り組みはじめたのは、高齢化社会、そして飲酒運転の規制強化といった背景があったからです。ビールやチューハイと違って炭酸がないため、なかなかごまかしが利かないのが開発時に苦労したポイントですね。香りについてはかなり日本酒らしさを実現できたのではと感じます。

病院へのサンプリングもおこなわれたそうですが?

病院向け雑誌とコラボレーションしておよそ2,000軒の病院にサンプルを送らせていただきました。ドクターや看護師の方から患者さんにご案内いただき、試していただいたところ非常に大きな反響があったんです。療養中でアルコールを控えている患者さんご自身はもちろん、ご家族の方がプレゼントとして贈るといったニーズも見られました。そのほかには「アルコール度数を少し控えめにしたい」という方も、日本酒を割るのに用いたりされているようです。

やはりさまざまなニーズを掘り出し、どうやって売っていくかというのが問題です。これだけSNSが発達した現在では、マスメディアに広告を大量に出稿しても、以前ほど認知が広がりにくくなっています。これからは、開発した新商品を飲食店から展開することによりお客様が飲み方や特長を周知し、ニーズが創出されたタイミングで小売店に売り込みをかけていき配荷率を高めるなど、従来とは異なるアプローチを模索していくことが必要だと思います。

売上維持、新カテゴリ開拓、2つのチャレンジ。

今後の商品戦略の展望についてお教えください。

やはり酒類業界全体で考えるとやや縮小傾向にあるのは否めません。清酒に限っても、ここ数年は数量、金額共に微減で推移しています。その微減分を新商品でカバーし、売上と利益を維持していくかが私たちに課せられた使命となります。その一方では、大きなヒットを狙ったハイリスク・ハイリターンのチャレンジを考えていくことも必要だと思います。安全策だけではリターンも小さい。売上規模の維持を実現したうえで、月桂冠ブランドを活かしながら新たなカテゴリを開拓できるような大きなチャレンジにも取り組んでいければと思います。

企画宣伝に携わるには、どのようなことが求められるでしょうか?

私自身もそうですが、企画宣伝課のスタッフは、ほとんどが営業経験者です。バイヤーやマーチャンダイザー、問屋の方々に「売る立場」を経験することや、現場の肌感覚を掴んでおくことは企画職に就いたときに非常に役立つと考えています。企画宣伝課では、商品や広告をゼロからつくっていく仕事なので、会社と家との往復だけではなく、いろいろなものに興味を持っておくべきだと思います。アートやライブを鑑賞したり、読書したり、インテリアのコーディネートを見たり、パッケージのデザインをチェックしたり、普段から意識してそうした刺激に触れ、「本物を見る目」を養っておく必要があります。感性が研ぎ澄まされていくことで、アイデアが出せる、良いデザインが選べる力といったものが身につくんだと思います。

営業推進部 企画宣伝課 課長 田中 喜直
好きなお酒:『ヌーベル月桂冠 特別本醸造』『伝匠月桂冠 純米吟醸』『つき』

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