
挑戦する社員たち
M.T
総合研究所
2018年入社 理学研究科修了
月桂冠への志望動機
小さなころからモノづくりが好きでした。大きなきっかけになったのは、大学の研究室で酵母を扱う研究をしたこと。微生物の奥深さや面白さを知り、微生物を活用して日常が少し楽しくなるようなモノをつくり、誰かの心をワクワクさせたいと思うようになりました。月桂冠は業界に先駆けて酒造りに研究を取りいれ、新しいモノを生み出していました。そういった挑戦する姿勢に共感し、入社を決めました。
現在の仕事内容
新しい香味のお酒を造るための酵母の育種をしています。例えば、酸味に特徴のある日本酒を開発するために、どうすれば酸味成分を多く生産する酵母を取得できるか、その育種方法を検討します。取得した酵母を用いて小さなスケールでお酒を造り、テイスティングをして味わいを確かめます。また、日本酒にはどのような「おいしさ」があるのか、日本酒の飲用シーンではどのような「楽しさ」があるのか、人の感覚を見える化できるような、製品開発とは違った切り口の新しい研究にも力を入れています。
仕事をするうえで
大切にしていること
自分らしさを出すことです。得意なことや興味のあることを、積極的に研究に取り入れるようにしています。面白いと思える研究をすることはモチベーションにもつながりますし、ほかの研究所メンバーがやったことのないジャンルの研究に取り組むことで、新しい気づきを与えられる存在になりたいとも思っています。周囲との違いを探す癖をつけることで、「世の中にない新しいものを生み出すヒントが得られるかも…」と考えています。
仕事のやりがい
自分のアイデアや、育種した酵母が商品に活用され、形になる瞬間はとても楽しいです。研究所での業務だけでなく、日本酒イベントに参加して、開発に携わったお酒を飲むお客様の生の声を聞ける機会もあります。そういうときに、良くない評価も含めて、反応をいただけるのは次の挑戦にもつながるので嬉しいです。また、新商品の開発や現場の課題解決では、研究所内での検討だけでなく、いろいろな部署からの協力が必要になります。みんなで協力して一つのことを成し遂げられた際は、大きな達成感を感じることができます。その後の打ち上げも楽しみのひとつです。

仕事での挑戦したエピソード
新しい“官能評価システム”の導入に挑戦しました。お酒を実際に口に含んで香味を確かめる官能評価は、日本酒の研究開発には欠かせないもので、研究所でも日ごろから実施しています。新しい日本酒の開発をする場合には、成分値が変化していること以上に、官能的に差がみられるかどうかが重要になります。私が入社した頃の官能評価は、コメントや採点で味わいの評価をすることがほとんどでした。日本酒はいろいろな香味が混ざり合っていて、口に入れる前の上立ち香、口に入れた瞬間の先味、飲み込んだ後の余韻など、味わいがどんどん変化する面白い飲み物です。そのため、コメントや点数だけでは、十分に表現ができないと感じました。そんななか、味わいの時間変化を評価できる官能評価システムがあることを知り、導入したいと考えました。新しいものを導入するには、社内でもその良さを実感してもらう必要があり、機器をレンタルして実際に使ってみたり、社内の情報システム課に相談して、PCで操作できるソフトを作ってもらったりしました。学会などへ参加して情報収集も行い、複数あるシステムの比較検討をして導入が実現。今では、官能評価手法のひとつとして社内で活用されており、自らの提案が形となって残っていることに喜びを感じています。

あなたの成長を支えたものは
何ですか
“自分の考えを発言できる環境”です。入社して間もない頃は、「今のフレッシュな考えを大切にしてね」とよく言われました。会社の先輩や上司は面倒見の良い方ばかりで、どんな意見にも耳を傾けてくれます。「こういうことがしたい」と伝えると意見をくれ、一緒に考えてくれます。もちろん、提案が通ることばかりではありませんが、自由に考えを伝えられる環境と、それを受け入れ意見をくれる環境があったからこそ、自分で考える力がついたのだと思います。
今後どんな挑戦をしていきたいか
日本酒を通じて“驚き”を与えたいです。日本酒は、米と水からさまざまな香味が生まれる、奥深いお酒です。「初めて飲む味!」「なんだかワクワクする香り!」「こんな洋風の料理にも合うんだ!」、日本酒を通じてそんな驚きを感じてもらいたいです。そのために、新しい香味を持つ日本酒の開発はもちろん、科学的な視点を取り入れたフードペアリングや、日本酒を飲んだときの感性測定など、いろいろな角度から研究をしていきたいです。
学生の皆様へメッセージ
日本酒に詳しくなくても、大学での研究が発酵分野に関係がなくても大丈夫です。多様なバックグラウンドが、面白いアイデアにつながることもあります。嗜好品の研究開発には正解がない分、難しさもありますが、研究所員の思いを乗せることもできて楽しいですよ。好奇心や興味があり、それを言葉にできる人は、自分のアイデアが形になるチャンスをつかめると思います。
1日のスケジュール例
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- 08:20
- 出社
- 08:30
- 始業 朝礼とメールチェック
- 09:00
- 担当テーマの実験
- 11:00
- データ整理
- 12:00
- 社員食堂にて昼食
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- 13:00
- 共同研究先との打ち合わせ
- 14:30
- 文献調査、研究報告書の作成
- 15:30
- 翌日の実験準備、タスク確認
- 16:00
- 終業・退社(育児時短勤務)
Private
休日の過ごし方
公園に行ったり買い物をしたり、のんびりと過ごしています。お散歩の途中で、カフェに寄って飲むコーヒーに癒されます。
