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酒粕成分が非アルコール性脂肪肝炎を予防

2014年3月19日

月桂冠総合研究所は、酒粕成分の摂取による非アルコール性の脂肪肝炎(以下NASH=nonalcoholic steatohepatitis)の予防効果を確認しました。NASHを予防する効果のある成分はレジスタントプロテインと呼ばれる難消化性かつ不溶性のタンパク質の一種で、レジスタントプロテインを含む酒粕の継続的な摂取が、肥満によるNASHの発症を予防できる可能性が示唆されました。この研究成果は、京都府立医大・消化器内科グループ(内藤裕二准教授)の監修によるもので、2014年度の「日本農芸化学会大会」において3月28日に発表します。

肝臓内に中性脂肪が蓄積する脂肪肝炎の中でもNASHは、肝炎ウィルスや飲酒によるものではなく、肥満やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を起因とする症状に分類され、症状が進行すれば肝硬変、肝臓がんに至ることが懸念されています。このNASHに関して、酒粕レジスタントプロテインによる予防可能性を検証するために、2012年から京都府立医大の監修を得ながら、研究に取り組んできました。これまでに、酒粕のマウスへの経口摂取により、血中の総コレステロールや血清LDLコレステロールを低減し、脂質代謝が改善することを明らかにしてきました。今回、酒粕をさまざまな条件で調製し、酒粕レジスタントプロテイン、その分解物の酒粕ペプチドを摂食に供したところ、NASHに特徴的な肝臓での脂肪沈着や細胞肥大化の抑制に加え、肝硬変への進行の指標となる繊維化も抑制されるなど、NASHの予防効果が確認されました(実験には、清酒もろみを液状化して仕込む当社独自の清酒醸造法で得られた酒粕を用いています。この酒粕には一般的な酒粕に比べ、米由来のタンパク質含量が約2倍含まれています)。

酒粕は生活に身近な食品であり、そのまま調理してまたはにごり酒、甘酒などからも、その有効成分を摂取できます。和食のコク味付けの調味用食材としても酒粕が利用されてきました。その酒粕を日々の料理に取り入れて、さまざまな効用を身近に体感していただこうと考え、月桂冠では『月桂冠社員の酒粕レシピ』(定価:1,260円・税込、株式会社KADOKAWA、2012年)を監修しました。

学会での発表

学会名 日本農芸化学会大会 2014年度
発表日時 2014年3月28日 (金) 17:15
会場 明治大学・生田キャンパス(神奈川県川崎市多摩区東三田1-1-1)、B05会場
演題 「酒粕摂取によるマウスのNASH予防効果」(演題番号:2B05p19)
研究・発表者 【月桂冠総合研究所】
○大浦 新、村上 直之、入江 元子、堤 浩子、秦 洋二
【京都府立医大・消化器内科】
守田 麻由子、内藤 裕二  (○印は演者)

月桂冠総合研究所について

1909(明治42)年、11代目の当主・大倉恒吉が、酒造りに科学技術を導入する必要性から設立した「大倉酒造研究所」が前身。1990(平成2)年、名称を「月桂冠総合研究所」とし、現在では、酒造り全般にわたる基礎研究を行うと共に、バイオテクノロジーによる新規技術の開発、製品開発まで幅広い研究に取り組んでいます。
(所長=秦 洋二、所在地=〒612-8385 京都市伏見区下鳥羽小柳町101番地)

関連情報:
月桂冠総合研究所

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