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清酒の機能性成分を活用し肉料理を美味しく
デフェリフェリクリシンを高含有させ臭み抑制

2018年8月31日

月桂冠総合研究所では、麹菌が生産するペプチド「デフェリフェリクリシン」(以下Dfcy)を多く含む酒に、牛肉や豚肉など畜肉の加熱調理時に発生する不快臭を抑制する効果があることを確認しました。清酒原料の一つ、米麹(こめこうじ)の製造時にDfcyを多量に生産する方法をこれまでに確立(2017年10月に学会発表)、すでにDfcyを通常の120倍多く含む清酒を試作しており、今後、料理清酒としての実用化も期待できます。この研究成果を、「デフェリフェリクリシン高含有清酒による畜肉調理時の不快臭抑制効果」と題して、「日本調理学会平成30年度大会」で8月31日に発表します。

今回の研究では、Dfcy濃度の異なるモデル清酒を畜肉ミンチに混ぜこみ、加熱調理した際の不快臭の発生量を、ガスクロマトグラフィー質量分析法により機器分析するとともに官能検査を行いました。その結果、Dfcyの濃度を高めるほど、不快臭であるヘキサナールと、2, 3-オクタンジオンの発生が抑制され、官能検査の点数が良くなる傾向を認めました。また、ヘキサナールの発生抑制率と官能検査の点数に正の相関が見られました。

Dfcyは、麹菌によって生産されるペプチドで、清酒醸造で用いる米麹に含まれています。Dfcyは鉄と結合して着色成分のフェリクリシン(以下Fcy)となるため、無色透明であることが求められる清酒にとっては不要な物質でした。業界では着色原因となるDfcyとFcyを減少させる研究が進められてきましたが、月桂冠では、これまでの成果を活用しつつ、逆転の発想によりDfcyとFcyの鉄分吸収促進や抗酸化作用といった機能性を生かす研究を行ってきました。今後、米麹の製造工程でDfcyを多量に生産する方法により、日本酒をはじめ米麹を原料とする発酵食品に機能性を付与するなど、産業での活用を目指していきます。

【学会での発表】
学会名: 日本調理学会平成30年度大会
発表日時: 2018年8月31日 10:45-11:00
会場: 武庫川女子大学(兵庫県西宮市池開町6-46)
演題: デフェリフェリクリシン高含有清酒による畜肉調理時の不快臭抑制効果
研究・発表者: ○柏原宏行,戸所健彦,福田克治,堤浩子,秦洋二(○印は演者)
【月桂冠総合研究所について】

1909(明治42)年、11代目の当主・大倉恒吉が、酒造りに科学技術を導入する必要性から設立した「大倉酒造研究所」が前身。1990(平成2)年、名称を「月桂冠総合研究所」とし、現在では、酒造り全般にわたる基礎研究を行うと共に、バイオテクノロジーによる新規技術の開発、製品開発まで幅広い研究に取り組んでいます。 (所長=秦 洋二、所在地=〒612-8385 京都市伏見区下鳥羽小柳町101番地)

※ニュースリリースに掲載している情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは、異なる場合があります。