明治期から残る貴重な木造酒蔵を耐震補強

酒どころ伏見を代表する景観を維持保存し、更なる活用へ

2021年09月02日

月桂冠内蔵酒造場、東側面からの眺め。左(南)側の棟から、前蔵、中蔵、奥蔵と呼んでいる

月桂冠株式会社(社長・大倉治彦、本社・京都市伏見区)は、本社や月桂冠大倉記念館の近隣に所在し、明治期建造の昔ながらの風情を残す木造酒蔵「内蔵酒造場」の耐震補強工事を今年4月から実施し、5か月をかけて8月31日に完工しました。伏見城の外濠だった濠川(宇治川派流)越しに望む酒蔵風景は、酒どころ伏見を代表する景観であり、京都・伏見の酒文化や観光のランドマークとして多くの人々に親しまれています。その中核となる酒蔵に耐震補強を施すことで、安全な環境を整備すると共に、将来にわたり景観を維持保存し、さらなる活用へとつなげるものです。この度の耐震補強では、酒蔵内部の多数の箇所への耐力壁や筋交い設置により、木造蔵が強震にも耐えられるよう構造強度を高めました。

内蔵酒造場(京都市伏見区本材木町)は、1906(明治39)年に建造した酒蔵で、今年で築115年にあたります。木造2階建て(延床面積1,300平方メートル)で、現在も酒造りを行う現役の酒蔵です。当社が、明治期から全国への販路を開き、生産量の拡大に伴って、自社酒蔵を増やしていった中の一つにあたります。切妻屋根を持つ3棟が東西に伸び、南側の棟から前蔵・中蔵・奥蔵が連なり、最も北側の奥蔵の棟は一段と躯体が大きく、陽光の影響を少なくし、寒気を多く取り入れる構造となっています。

蔵の東、西から望む、木造の3棟が連なる酒蔵建築は美しく、写真撮影や絵画描写などに訪れる人たちも多く見られます。内蔵酒造場は、月桂冠大倉記念館(1909年建造の酒蔵を活用して1982年開館、2020年に耐震補強の施工を実施しリニューアル)などと共に、産業の近代化や技術発展の歩みを物語る「近代化産業遺産」(経済産業省、2007年)にも認定されています。

内蔵酒造場では、現在、大吟醸酒などの高級酒を中心に醸造を行っています。今後も酒造りを継続すると共に、伝統の酒蔵とその景観の維持保存を促進すべく、蔵元の風情を体感できる施設としての活用なども検討していく予定です。

濠川・宇治川派流からの内蔵酒造場(西側面)の眺め

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