四半世紀にわたるサスティナブルな取り組み

「米から酒へ・酒から米へ」、循環型の農業と酒造り

酒粕を肥料として栽培した米で日本酒醸造

2021年10月07日

酒粕肥料による循環型農業のイメージ(左図)と、JR東海道線(琵琶湖線)沿いに立つ酒粕有機肥料使用米栽培地区をPRする看板(左、滋賀県彦根市稲枝地区)

月桂冠は、JA東びわこ・稲枝地区(滋賀県彦根市)と、循環型の農業と酒造りに1996年から取り組んでおり、今年で25年を迎えました。酒粕を主体にした有機質肥料を用いて稲を育て、収穫した米で酒を造り、酒粕を肥料として再び土に返し、稲を育てるという「米から酒へ・酒から米へ」の循環を繰り返すもので、地球環境の保全を始め持続可能な社会への一助となるサスティナブルな取り組みを、四半世紀にわたり連綿と進めてきました。

滋賀県彦根市稲枝地域の農家は、従来から、琵琶湖の水質への影響を少なくするために、有機質肥料の割合を高めるなど、環境への配慮に取り組んでいました。一方、月桂冠では、酒造りの副産物である酒粕の用途開発に取り組んでいました。その中から、新たなアイデアとして酒粕を肥料とした米作りと酒造りへの取り組みが生まれました。その間、酒粕の肥料化、米の酒造適性改善、さらには醸造工程において良酒を醸すための工夫など、日本酒の製品化に至るまで、多くの改良を行ってきました。肥料については、当初、酒粕そのもの、あるいは酒粕を粉砕・乾燥・粉末化したものなどの使用を試み、効果的に散布するために試行錯誤を繰り返しました。その結果、現在では、肥料会社で粒状に加工し、稲の生育・栽培のために最適化されたものを使用しています。

酒粕から粒状に加工された肥料(左)と、その肥料を用いて生育中の稲(右)

酒粕には、米由来のデンプンのほか麹や酵母由来のタンパク質、繊維質などの有機物が多く含まれており、特にタンパク質由来の窒素成分が栄養素として稲の生育に活用されます。田んぼの土作りにも稲わら、もみ殻など有機物を用いています。酒粕肥料を用いるメリットとして、土壌で徐々に、タンパク質由来の窒素成分がアンモニア態窒素などへ分解されながら栄養となっていくため、土壌への負荷を減らすことができます。さらに周辺河川や琵琶湖への影響も少なくできることもわかりました。この循環型農業では化学肥料を一切使わず、農薬も通常と比べて50%以上削減していることから、栽培された米は滋賀県の「環境こだわり農産物」に認定されています。

この循環型の農業と酒造りへの取り組みについて、2007年、農林水産省「第13回環境保全型農業推進コンクール」で大賞(農林水産大臣賞)を、JA東びわこ稲枝酒粕米部会が受賞しました。また、2015年には、環境の保全に貢献する先進的で優れた活動を京都市が表彰する「第12回 京都環境賞」の特別賞(企業活動賞)を月桂冠が受賞、長年にわたる活動の継続性、酒造りと酒米栽培とを循環させるという斬新性などが認められ、高く評価されました。本取り組みにより、米の生産に関わる農業関係者と酒造メーカーとの交流も実現し、相互が理解を深め、環境への意識づくりに対するモチベーションの向上に繋がったことも成果となりました。当社では今後も、地球環境のサステナビリティに貢献できるよう取り組みを進めていきます。
なお、この取り組みのこれまでの経緯や成果を、10月7日、「第13回・日本醸造学会 若手シンポジウム」で発表します。

学会での発表

学会名:第13回日本醸造学会 若手シンポジウム(主催:日本醸造学会 若手の会)
発表日時:2021年10月7日(オンラインで開催、視聴は参加を申し込んだ会員限り) 
演題:「米から酒へ、酒から米へ」循環型の農業と酒造り 25年間の継続した取り組み
発表者:○青木俊介、小島泰弘(○印は演者)

※ニュースリリースに掲載している情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは、異なる場合があります。