月桂冠総合研究所

甘酒や日本酒に含まれる麹菌成分・デフェリフェリクリシンの継続摂取により、
肌の調子・肩こりなどを緩和することを発見

2023年03月06日

月桂冠株式会社(社長・大倉治彦、本社・京都市伏見区)総合研究所は、日本酒など発酵食品の製造に使われる麹菌が作る成分・デフェリフェリクリシン(以下、Dfcy)を継続摂取すると、身体の肌の調子・肩こりなどの軽度不調が緩和されることを発見しました。今回の研究成果は、「デフェリフェリクリシン高含有麹菌発酵エキス飲料の継続摂取による軽度不調緩和への影響」と題して、2023年度日本農芸化学会大会(会期2023年3月14日~17日)で発表します。なお、本研究は支援をうけ、学校法人電子開発学園北海道情報大学・学長・西平順教授の研究グループと共同でおこなったものです1) 。

デフェリフェリクリシン(Dfcy)を含む飲料の継続摂取による検証
麹菌の発酵食品である米麹、それを用いた甘酒や日本酒などの発酵食品には様々な健康と美容に関する研究がなされています。これまで、月桂冠総合研究所では、これらの飲料などに含まれる麹菌発酵生産成分・デフェリフェリクリシン(以下、Dfcy)に着目し、「肌のバリア機能改善」など体の外側から効用があることを皮膚のモデル試験で明らかにしてきました2) 。そこで甘酒のようにDfcyを継続的に摂取した場合、体の内側からどうのような健康と美容に関する作用があるかを検証することとし、Dfcy含む飲料の作成(月桂冠担当)と、ヒトモニター試験(北海道情報大学担当)を行いました3) 。

ヒトモニター試験での検証の結果、Dfcyを含まない飲料(プラセボ)と比較して、Dfcyを含む飲料を摂取したグループは肌の調子(「肌の調子」、「肌の乾燥」と「目の下のクマ」)と、身体的疲労感(「肩がこる」と「頭が重い」)が統計的に改善されていることが明らかとなりました4) 。また、睡眠時脳波について行ったところ、睡眠時の覚醒回数が減ることが分かり、睡眠の質を改善している可能性があることも示されました5) 。
今回の試験結果では、体の外側から作用による肌の改善が、体の内側からの作用にも同様にあったことを初めて明らかにしただけでなく、身体的疲労感や睡眠の質改善まで様々な効用があること明らかにしたものです。また、米麹を含む発酵食品を摂取することでこれらの効用が得られる可能性を併せて示すことができました。
今後は、Dfcyの新しい生理機能を解明するだけでなく、Dfcyをより多く含む米麹の技術開発や、開発した米麹を用いた新商品開発に繋げていく予定です。

1:本研究は戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」(管理法人:生研支援センター)によって実施された。
2:Dfcyをヒトの皮膚細胞に作用させたところ、フィラグリンという肌バリアに関与するタンパク質生産が増加することを報告した。本試験は体の外側から皮膚に作用させて評価することに相当する(月桂冠2022年3月8日付ニュースリリース)。
3:麹菌発酵物を含むDfcyを溶解した飲料170mL/日を摂取条件とした。日本人女性20名をモニターとし、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を行った。
4:便、肌などの調子に関する12項目の変化をVAS(Visual Analogue Scale)により評価し、有意差検定を行った。
5:脳波計を装着して睡眠し、覚醒・レム睡眠・ノンレム睡眠の経時変化を測定。覚醒時間が長くなると、夜中に目が覚めたり朝早く目が覚めたりすることに繋がり結果的に睡眠の質が低下すると言われている。

学会での発表

学会名:2023年度日本農芸化学会大会(主催:公益社団法人日本農芸化学会)
日時:2023年3月14~16日
会場:オンライン開催
演題:デフェリフェリクリシン高含有麹菌発酵エキス飲料の継続摂取による軽度不調緩和への影響
発表者:〇柏原 宏行1、鈴木 佐知子1、石田 博樹1、西平 順2, 山本(前田)万里31月桂冠・総研, 2北海道情報大学, 3農研機構)(○印は演者)

デフェリフェリクリシン(Dfcy)とは

Dfcyは、麹菌が生産するペプチドで、アミノ酸が6つ環状に繋がった構造をしています。日本酒醸造で用いる米麹はもちろん、日本酒、酒粕、甘酒にも含まれています。Dfcyは鉄と結合して赤褐色の着色成分「フェリクリシン」(以下Fcy)となるため、無色透明であることが求められる日本酒にとっては不要な物質でした。業界では着色原因となるFcyとDfcyを減少させる研究が進められ、現在では、それらの物質を作らせない技術が確立されています。月桂冠では、逆転の発想によりFcyとDfcyの有効活用を検討するために、大量生産技術に関する研究を進めるとともに、これまでに、鉄分吸収促進や抗酸化作用、尿酸値低減、抗炎症作用、美白作用、皮膚バリア機能、抗がん作用といった機能性を解明してきました。また、植物への鉄分補給による生育促進作用も確認しています。

月桂冠総合研究所

1909(明治42)年、11代目の当主・大倉恒吉が、酒造りに科学技術を導入する必要性から業界に先駆けて設立した「大倉酒造研究所」が前身。1990(平成2)年、名称を「月桂冠総合研究所」とし、現在では、酒造り全般の基礎研究、バイオテクノロジーによる新規技術の開発、製品開発まで、幅広い研究に取り組んでいます(所長=石田博樹、所在地=〒612-8385 京都市伏見区下鳥羽小柳町101番地)。

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※ニュースリリースに掲載している情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは、異なる場合があります。