月桂冠総合研究所
麹菌由来成分「デフェリフェリクリシン」が古米の食味を改善
古米臭発生を抑制、もっちり感と艶の向上効果を確認
2026年03月26日
月桂冠株式会社(社長・大倉治彦、本社・京都市伏見区)総合研究所は、日本酒造りに欠かせない麹菌が作る成分「デフェリフェリクリシン(以下、Dfcy)」が、古米の食味改善に寄与することを確認しました。炊飯時にDfcyを添加することで、古米特有の臭いの原因成分が抑制され、ご飯の艶やもっちり感が向上することを見出しました。
背景:なぜ「抗酸化性」に着目したのか
近年、気候変動や生産調整の影響で米の供給が不安定となっており、対策として古米の有効活用が求められています。しかし、米は長期保存する間に脂質が酸化され、「古米臭」と呼ばれる特有のネガティブな香り(主にヘキサナールなどの成分)が発生し、食味が低下することが課題となっています。
月桂冠総合研究所はこれまでの研究で、麹菌由来のペプチドである「Dfcy」が高い抗酸化活性を持つことを明らかにしてきました。そこで、Dfcyの抗酸化活性を活用することで、米の酸化による劣化を防ぎ、古米をよりおいしく食べられるのではないかと考え、本研究に着手しました。
試験結果:添加量を増やすほど古米臭が減少し、食味が向上
古米の炊飯時にDfcyを添加し、その効果を検証しました。その結果、Dfcyの添加量を増やすのに伴い、古米臭の一因とされる「ヘキサナール」の生成が抑制される傾向が確認されました。
さらに、炊き上がったご飯の官能評価試験を実施した結果、Dfcyの添加量が増えるにつれて、ご飯の「もっちり感」や「艶」が明確に向上することが認められました。これらの結果から、Dfcyの添加が不快なニオイの発生を抑え、米本来の美味しさ(食感・外観)を引き上げることに寄与する可能性が示されました。
①水のみ:やや水っぽくベタつきあり、糠・油様臭あり艶劣る
②酒のみ:粒立ち良く柔軟だが、油臭と艶不足が課題
③酒+Dfcy 10ppm:もっちり感が向上し甘味と香ばしさ有、糠・油様臭軽減
④酒+Dfcy 100ppm:もっちり感とふっくら感が向上し甘味増す、糠・油様臭低減
本研究の成果は、保存米の有効活用や食品ロス削減という社会課題解決への応用(フードテック領域での活用)が期待されます。
学会での発表
今回の研究成果は、日本農芸化学会2026年度大会(会期:2026年3月9日~12日)で発表しました。
学会名:日本農芸化学会2026年度大会(主催:公益社団法人 日本農芸化学会)
日時:2026年3月12日 9時00分~9時12分
会場:同志社大学 今出川キャンパス(京都市上京区今出川通烏丸東入)
演題:古米をおいしく食べる デフェリフェリクリシンによる食味改善効果 -麹のフードテックへの応用-
発表者:○大石 麻水,大塚 郁子,小高 敦史,石田 博樹(月桂冠株式会社・総合研究所)(○印は演者)
月桂冠総合研究所
1909(明治42)年、11代目の当主・大倉恒吉が、酒造りに科学技術を導入する必要性から業界に先駆けて設立した「大倉酒造研究所」が前身。1990(平成2)年、名称を「月桂冠総合研究所」とし、現在では、酒造り全般の基礎研究、バイオテクノロジーによる新規技術の開発、製品開発まで、幅広い研究に取り組んでいます。(所長:石田博樹、所在地:〒612-8385 京都市伏見区下鳥羽小柳町101番地)
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