月桂冠総合研究所
麹菌由来成分「デフェリフェリクリシン」の新たな調理効果を発見
古米に続き、大豆ミートでも不快臭抑制効果を確認
2026年09月02日
月桂冠株式会社(社長・大倉治彦、本社・京都市伏見区)総合研究所は、日本酒造りに欠かせない麹菌が作る成分「デフェリフェリクリシン(以下、Dfcy)」が、古米に加え、大豆ミートの食味改善に寄与することを確認しました。Dfcyを加熱調理時に添加することで、古米臭や豆臭の原因となる成分の生成が抑制されるとともに、官能評価において香りや味わいの改善が認められました。
背景:古米だけではない「酸化由来の不快臭」に着目
月桂冠総合研究所ではこれまでに、麹菌由来成分Dfcyが高い抗酸化活性を有し、古米の炊飯時に発生する古米臭を抑え、食味を改善することを報告してきました。
一方、古米だけでなく大豆ミートなどの植物性食品でも、加熱時に脂質が酸化することで「豆臭」と呼ばれる特有の不快臭が発生し、おいしさを損なうことが課題となっています。近年の調査よると、「大豆ミートを知っている、聞いたことがある」と答えた人が47%、「実際に植物性代替肉を食べたことがある」と答えた人が31%という結果が出ており、、持続可能な食資源の利用への関心が高まっています(※1)。これより、大豆由来食品のおいしさを向上させる技術が求められていると考え、今回はDfcyによる酸化抑制効果が古米以外の食品にも応用できるかを検証しました。
試験結果:古米臭だけでなく大豆ミートの豆臭も抑制
古米の炊飯時および大豆ミートの調理時にDfcyを添加し、機器分析による香気分析を行いました。その結果、古米臭や豆臭の原因となる直鎖状アルデヒド類(ヘキサナール、2-ヘキセナール、2-ペンチルフラン)の発生量が、Dfcy添加区で顕著に低減しました。また、脂質酸化によって生じるその他の香気成分についても低減する傾向が認められました。
さらに、実際に炊飯した古米や、大豆ミートを肉だねの一部に使用した餃子などの試作品を作り、官能評価を行いました。その結果、古米では古米臭が抑えられ、香りや味わいが向上しました。また、大豆ミートを一部に用いた餃子では、大豆ミート特有の豆臭が軽減されるとともに、肉らしい風味が感じられてより食べやすいとの評価が得られました。
▲Dfcyを添加して炊飯した古米
▲Dfcyを添加した大豆ミート
▲大豆ミートを使用した餃子の調理の様子
▲焼きあがった餃子
これらの結果から、Dfcyは実際の調理食品においても不快臭発生を抑制し、おいしさの向上に寄与することが確認されました。
今回の研究により、Dfcyは古米だけでなく、大豆由来食品でも脂質酸化由来の不快臭を抑制し、調理時の風味改善に寄与することが確認されました。Dfcyは麹菌がつくる天然由来成分であり、食品本来のおいしさを引き出す新たなフードテック素材として期待されます。
月桂冠総合研究所ではDfcyを利用した商品の開発を進めており、備蓄米の有効活用や植物性食品のおいしさ向上など、持続可能な食資源利用への貢献を目指してまいります。
引用)
※1: 日本ハム「食の未来を担う「代替たんぱく質」の認知度は?最新調査結果を公開」https://www.nipponham.co.jp/tanpaku-mirai/choice/07/
学会での発表
今回の研究成果は、日本調理科学会2026年度大会(会期:2026年9月1日~2日)で発表しました。
学会名:日本調理科学会2026年度大会(主催:一般社団法人 日本調理科学会)
日時:2026年9月2日 9:30-9:45
会場:同志社女子大学 今出川キャンパス(京都市上京区今出川通寺町西入)
演題:麹菌デフェリフェリクリシンを用いた古米・大豆ミートの食味改善への挑戦
発表者:○大石 麻水、大塚 郁子、小高 敦史、石田 博樹(月桂冠株式会社・総合研究所)(○印は演者)
月桂冠総合研究所
1909(明治42)年、11代目の当主・大倉恒吉が、酒造りに科学技術を導入する必要性から業界に先駆けて設立した「大倉酒造研究所」が前身。1990(平成2)年、名称を「月桂冠総合研究所」とし、現在では、酒造り全般の基礎研究、バイオテクノロジーによる新規技術の開発、製品開発まで、幅広い研究に取り組んでいます。(所長:石田博樹、所在地:〒612-8385 京都市伏見区下鳥羽小柳町101番地)
※ニュースリリースに掲載している情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは、異なる場合があります。