京の日本酒と和菓子

VOL.03「つき」と「名代豆餅」

「生酒」の冷酒と「夏柑糖」
信楽焼酒器・信楽焼徳利(佐伯健剛作)、板皿(中原幸治作)/
器協力「うつわ屋めなみ」 
京都市北区小山花ノ木町15

中秋の名月も近づいて夜空に月が映える季節。今回選ぶ日本酒はその名もお月見にぴったりの「つき」。唐紙の老舗「唐長(からちょう)」を継承する「雲母唐長」の監修により、観世水(かんぜみず)の文様を満月の絵柄に配したデザインに刷新。まろやかな味わいとすっきりしたあと味が特徴だ。発売以来20年、2億本突破の看板商品である。

観世水(かんぜみず)の文様

この価格でこの自然な味わいの秘密は何だろう。原材料は米、米こうじ、醸造アルコールのみ。伏見の名水で仕込み、糖類や酸味料の添加に頼らず醸している。「味の秘密は、伏見伝統の四段仕込みと月桂冠独自開発の酵母にあります」と説明するのは商品企画を担当する山中寛之さん。通常の三段仕込みが終わった後、お酒を搾る前にもう一回蒸米を入れることを四段仕込みといい、それでコクと甘味を整えるのだそう。また特許技術による酵母でさわやかな酸味を出す。つまり、酒造りの一翼を担う酵母、そして醸造方法によって、「つき」のまろやかさと深さを醸しだす。まさに自然の味なのだ。

商品企画 山中 寛之

商品企画

営業推進部

山中 寛之

このお酒に、お月見気分で「出町ふたば」の「名代豆餅」を合わせてみる。近江産羽二重糯米を用いた搗(つ)きたての餅に、北海道美瑛(びえい)産赤えんどう豆を散らし、中には十勝産小豆のこし餡。厳選材料を用いながらも気取らず素朴な味わいで知られる大福だ。かつて職人が編み出した、赤えんどう豆の塩加減は絶妙で、これが「つき」によく合う。
口に入れるとまず、赤えんどう豆の塩の効いた旨みが来る。次にあっさりしたこし餡のほのかな甘みが口中に広がり、最後にもっちりとした餅皮が歯に残る。ここで「つき」を口に含むと、両者は口の中で溶け合い、豆餅の風味が消えて、さわやかな「つき」の味がすっと立つ。

「名代豆餅」/出町ふたば

京都市上京区出町通今出川上ル青龍町236
TEL:075-231-1658

「名代豆餅」/出町ふたば

あとを引く絶妙なコンビネーションに、また豆餅を頬張り、「つき」を喉に流し込む。肩ひじ張らずに食べて飲める至福のひととき。常温でも、少し冷やしても、ぬる燗でもよい。今年のお月見、秋の夜長はこの組み合わせで決まりそうだ。

つき

つき

まろやかな味わいと、すっきりしたあと味のお酒。

甘辛:中口 濃淡:やや淡麗

※2021年8月に酒質・パッケージをリニューアルしました。最新の情報は商品ページでご確認ください。

ハンケイ500m

(VOL.039)2017年9月11日発行

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