京の日本酒と和菓子

VOL.07「氷原酒」と「黒洲浜」

「氷原酒」と「黒洲浜」
グラス(河上智美作)、器(稲葉周子作)

新緑が目にまぶしい季節となり、汗ばむ日も多い。日本酒も冷やして飲みたい頃、ぴったりなのが月桂冠の「氷原酒」。氷を入れたロックグラスに注ぎ、氷が溶けていくにつれ、ほどよい濃度になるのを楽しむ純米生酒だ。原材料は米と米こうじで、米本来の旨味とコクが効いている。
「今や日本酒のオンザロックは珍しくないですが、2005年に発売した当初は、正道じゃなかったんです」と語るのは、営業推進部企画宣伝課長の中辻貴氏さん。球形の製氷器をおまけにつけるなど販売に工夫を凝らした時期を経て、今や日本酒オンザロックはすっかり定着した。17度とアルコール度数が少し高めなのは、氷が溶けた味わいを想定してのこと。氷を入れたグラスに「氷原酒」を注ぐと1分後には約13度になり、その後10分ほどは安定した味わいになるという。氷が溶けたあとの味のバランスをとるため、適度な酸味を残した造りにしている。

営業推進部企画宣伝課長 中辻 貴氏

商品企画

営業推進部
企画宣伝課長

中辻 貴氏

これに合う和菓子として今回選んだのは、江戸時代創業の老舗「源水」の流れを汲む「紫野源水」の「黒洲浜(くろすはま)」。州浜とは、炒り大豆を挽いた州浜粉を水飴で固めた菓子のことをいうが、「黒洲浜」は、炒りの強い黒州浜粉を用い、水飴の替わりに米飴(もち米と大麦麦芽を発酵させたもの)を使うため、香ばしさが際立ち、味わいが深い。

「黒洲浜」/紫野源水

京都市北区小山西大野町78-1
TEL:075-451-8857

「黒洲浜」/紫野源水

このやわらかな角形の粒を口に入れて噛むと、大豆の香ばしさと素朴な甘味が口内に広がる。そこへ「氷原酒」をふくむと、キリッとしたお酒の風味に甘味が寄り添うように溶けていき、「氷原酒」のすっきりと心地よい味わいが残る。この組み合わせの快感に、「黒洲浜」にまた手が伸びる。飲めば飲むほど手が止まらなくなる、まさに黄金の組み合わせだ。
この週末は、お酒のすすむこの和菓子をつまみに、青紅葉でも眺め、昼から「氷原酒」のオンザロックでゆっくりと過ごしたいものだ。

氷原酒

氷原酒

オンザロックでの飲用がおすすめ。

甘辛:中口 濃淡:濃醇

※この商品は販売を終了しました。

ハンケイ500m

(VOL.043)2018年5月10日発行

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