実りの秋も深まってきた。秋の夜長、家でほっこりとくつろぎたいとき、飲んでみたいのが、月桂冠の日本酒「果月 葡萄」だ。巨峰のような香りが、軽やかな甘みとコクを呼び起こす。ちょっと冷やして飲むと、これが日本酒かと思うほど、馴染みのない人にも飲みやすい。酒造りの工程で生まれる発酵由来の香りを組み合わせて誕生した、新しいコンセプトの日本酒だ。
「もともと、日本酒の発酵過程で生まれる香りに葡萄の香りと同じ成分は複数あるんです。それを巨峰に近いイメージでバランスよくアッサンブラージュして仕上げたのが、このお酒の特徴です」と語るのは、月桂冠総合研究所・製品開発課の青木俊介さん。アッサンブラージュとは、ワインやウィスキーの製造時に、異なる酒質をブレンドする手法。大学時代、ワイン醸造も学んだ青木さんには、熱が入る研究だった。試行錯誤の中、アッサンブラージュを繰り返し、巨峰やピオーネのような香りとコク、甘みが感じられる「果月 葡萄」が誕生した。それだけで飲んでも楽しめるが、生ハムやスモークサーモンなど、シンプルな味のアテとも相性がよい。
研究
総合研究所
青木 俊介
今回この「果月 葡萄」に合う和菓子を探したところ、やはり、姿形、素材ともにシンプルなものが最高のマリアージュをもたらした。創業明治13年の老舗「双鳩堂(そうきゅうどう)」の「鳩もち」。「鳩もち」は洛北にある三宅八幡宮の門前菓子として知られる。米粉に砂糖を加えて蒸し、八幡宮の守り神、鳩をかたどった餅菓子だ。
「鳩もち」/双鳩堂
京都市左京区山端川端町11
TEL:075-781-5262
白い「鳩もち」は味も素朴だ。ひと口かじると、もちもちの食感のあとにほのかな甘みが感じられる。そこで「果月 葡萄」を口に含むと、お酒のコクと甘みがお餅の甘味と融合し、口の中で両者をブラッシュアップして混ざり合う。葡萄の香りとさわやかさが口いっぱいに広がって余韻が残る。主原料が米同士なのも相まって、鳩もちの素朴さが「果月 葡萄」の風味を一段と引き立てる。
果月 葡萄
お米が生み出す、果実のような日本酒。巨峰やピオーネのような香り、軽やかな甘味とコクが特長。
(VOL.064)2021年11月10日発行
- 当ページに掲載している情報は、誌面掲載当時のものです。最新の情報とは、異なる場合があります。