京の日本酒と和菓子

VOL.19 「果月 桃」と「西湖」

「果月 桃」と「西湖」

夏の暑さも少しやわらぎ、中秋の名月も間もなくだ。まだまだ冷やしたお酒がおいしいが、ちょっとめずらしい日本酒「果月 桃」が月桂冠から発売された。日本酒の香りというと、吟醸酒のリンゴやバナナなどのフルーティーな香りが思い浮かぶが、「果月 桃」はなんとモモの香りがするのだという。原材料は米と米こうじのみで、もちろん人工的な香料も果汁も使われていない。一体、どんなお酒なのだろう。

「当社の研究所が、モモの果実のような香気成分を含む日本酒の開発に取り組んでいました。当時、商品企画の部署でも従来にない新しいタイプの日本酒を世に出したいと考えており、それらが一致して商品化が進みました」と語るのは、営業推進部マーケティング課の久野優奈さん。研究の着手から9年をかけて「果月 桃」が完成した。甘味と酸味のバランスがとれた爽やかな風味は「きっともとからお酒が好きな方にも気に入ってもらえる」と久野さん。モモの香りは、冷やしてしばらく室温におくと、最もよく感じられる。

商品企画 営業推進部 久野 優奈

商品企画

営業推進部
久野 優奈

さて、今回この「果月 桃」にとり合わせた和菓子が、「紫野和久傳(むらさきのわくでん)」の「西湖(せいこ)」だ。蓮粉(はすこ、蓮根のでんぷん)と和三盆糖が材料で、菓子は笹の葉に包まれている。京料理の老舗「和久傳」が料亭で出す生菓子だが、おもたせとして季節を問わず販売されている。くるんである笹を開くと葉の香りが漂い、ぷるぷるとした琥珀色の生菓子が現れる。少し食べると、とろんとした口当たりにほのかな和三盆糖の上品な風味。そのあと「果月 桃」を一口こっくりと。飲めば、爽やかなモモの香りが口に広がり、生菓子の甘味とやさしく混ざり合う。そして、スッキリとしたあと口とともに、清々しい酸味が押しよせる。

れんこん菓子「西湖」/紫野和久傳 堺町店

京都市中京区堺町通御池下ル丸本材木町679
TEL:075-223-3600

れんこん菓子「西湖」/紫野和久傳 堺町店

「西湖」は杭州市の名所でもあり、かつて中国の文人らは、空に浮かぶ月とともに湖に映る名月をも楽しんだという。秋の夜長、今年の月見は、「果月 桃」に「西湖」を取り合わせ、名月を愛でてみたい。

果月 桃

果月 桃

お米が生み出す、果実のような日本酒。もぎたての桃のようなみずみずしい香りが特長。

甘辛=甘口、濃淡=濃醇
月桂冠オンラインショップ
ハンケイ500m

(VOL.063)2021年9月10日発行

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