化石燃料の枯渇防止・炭酸ガス排出量の削減・環境に優しい循環型社会の形成を目指し、植物バイオマスからエタノールを作ってガソリンに添加することが本格的に進められています。現在はトウモロコシやサトウキビのような食用可能な植物原料からのバイオエタノール生産が実用化されていますが、人口増加による食糧不足への危惧から、草・木・古紙等の食用としない植物原料からのエタノール生産技術の開発が求められています。しかし、このような非食用バイオマスからのエタノール製造においては、原料の分解・発酵にかかるコストが高くなることや、分解過程で使用する化学薬品による環境負荷が生じることなどが問題とされています。

そこで月桂冠総合研究所は、醸造環境で長年選抜されてきた醸造微生物(麹菌、清酒酵母)やその発酵技術をバイオエタノール生産へ利用すべく、微生物育種などの研究を進めてきました。スーパー酵母とは、清酒酵母に酵素タンパク質を細胞表層に自在に提示する「細胞表層工学」という技術を応用することで、従来にはない新しい機能を付与した微生物です。例えば、蛍光タンパク質を提示したスーパー酵母は細胞表面が光ります(図1)。今回は、スーパー酵母技術と廃棄物の少ないバイオマス前処理として注目される「亜臨界水処理」を我々の発酵技術と融合することにより、セルロースを「水で分解」し「醸造微生物(スーパー酵母)で発酵」するという、非常にユニークなバイオエタノール生産プロセスの構築を目指しました(図2)。一方対象とするバイオマスには、「バイオマス・ニッポン総合戦略」でも挙げられているもみ殻や稲わらを選びました。特に、もみ殻については国内で年間200万トン発生しますが、堆肥、飼料として利用されているのは30%程度であり、残りの70%は廃棄されています。もみ殻や稲わらからのバイオエタノール生産が可能になれば、我が国のバイオマス有効利用に大きく貢献できるものと期待されています。

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