研究内容

Dfcy高生産麹菌の育種

Dfcy高生産麹菌の育種

研究背景

デフェリフェリクリシン(Dfcy)は、もともと日本酒中の微量成分として発見された物質です。麹菌が生産する成分であり、長い食経験があることから、安全性の高い素材であることはわかっていました。しかし、日本酒中に含まれる量がごくわずかであったため研究が進まず、どのような機能を持つ物質なのかも明らかになっていませんでした。
そこで私たちは、Dfcyを多く生産するオリジナル麹菌を育種することで、Dfcyの機能を明らかにするとともに、Dfcyを豊富に含む日本酒の開発につなげられるのではないかと考え、研究を開始しました。その挑戦は2003年に始まりました。

Dfcy高生産麹菌の育種

麹菌は胞子(植物でいう種子のようなもの)をつくることで世代を重ねます。胞子には自然に生じる突然変異によって少しずつ性質の異なるものが現れます。私たちは、胞子を一つずつ分離して培養し、その中からDfcyをより多く生産するものを選抜するという地道な作業を繰り返しました。その結果、20年にわたり16世代の選抜を重ね、元の麹菌と比べて5倍以上のDfcyを生産するオリジナルのDfcy高生産麹菌の育種に成功しました。この育種株の開発により、十分な量のDfcyを取得できるようになりました。その結果、Dfcyが抗酸化活性をはじめとするさまざまな機能性を有することを明らかにし、さらに料理の臭みを抑える効果をもつDfcy含有料理酒を開発するなど、商品の実用化につなげることができました。(図)

図 育種による生産量の増加
図:育種による生産量の増加

学会発表

  • デフェリフェリクリシン高生産麹菌の製麹と応用、
    ○伊出健太郎、柏原宏行、大澤麻水、戸所健彦、福田克治、堤浩子、秦洋二、日本醸造学会大会(2017)
  • 麹菌が産生する鉄キレート環状ペプチド デフェリフェリクリシンの大量生産技術の開発 -菌株育種と培地成分の改良について-
    ○戸所健彦、中川拓哉、福田克治、松村憲吾、入江元子、堤浩子、秦洋二、日本農芸化学会大会(2013)
  • 鉄キレート型環状ペプチド(フェリクリシン:Fcy)の機能性(1) -麹菌を用いたFcyの大量生産技術の確立-、
    ○福田克治、鈴木佐知子、入江元子、秦洋二、川戸章嗣、安部康久、日本農芸化学会大会(2005)

(掲載日:2026年9月14日)