伏見稲荷・伏見桃山、京都洛南の情景に秘められた彩り深い歴史と文化。

伏見稲荷・伏見桃山
伏見稲荷・伏見桃山

古都・京都の歴史・文化の魅力を探訪するため、国内外から多くの方たちがお越しになります。そんな中で、これまで京都洛南の伏見については、京都駅以北の市街地に比べ、案外知られていませんでした。しかし近年、伏見稲荷や伏見桃山などの名所が人口に膾炙するようになり、神社参拝、歴史散策、酒蔵巡り、自然散策やハイキングにと人々が訪ねて来られます。
「おいなりさん」と親しまれる「伏見稲荷大社」では、朱色の鳥居がどこまでも居並び、自然豊かな稲荷山の奥深くへと、旅行者をいざなう魅力があります。稲荷から南へ、桃山まで足を延ばして、「ごこんさん」と呼び親しまれる「御香宮神社」の境内に立てば、豊臣秀吉や徳川家康らに尊崇されてきた歴史に思いを馳せることができます。さらに酒どころの中心となるこの界隈には、日本酒の醸造所が集中しており、蔵見学、きき酒、飲食店での酒を交えた食事が楽しめます。世界各地で、ウィスキー蒸留所やワイナリー巡りなど醸造所へのツアーが、旅先の楽しみとして定番となっているのと同様に、京都伏見では日本の國酒・日本酒が堪能できるのです。

この伏見は16世紀末頃、豊臣秀吉の伏見城築城により城下町として整備され、全国各地の大名の屋敷が軒を連ねる武将の町となりました。酒どころとして産地形成されたのは、その頃に遡ります。時代の激変をくぐり抜け、伏見城の廃城後も、水陸交通の便の良い地の利を生かし宿場町・港町として再興し、旅人が東へ西へと行き交いました。武人の町、商人の町として多様性を持つ自由闊達な都市で、来る者を拒まず受け入れる、肩肘張らないというこの町の気風が培われ、現在へと受け継がれてきました。

伏見地区へは、京都駅からJR奈良線や近鉄京都線で、また京阪本線で京都市街の三条・四条や大阪市内方面からのアクセスも良く、気軽に行き来することができます。伏見稲荷、そして伏見桃山、見どころが多くて楽しめるこの界隈をぜひ訪ねてみませんか。

(伏見探訪「稲荷と桃山」に関する参考文献)

  • 京都平安文化財『伏見城跡(指月城)発掘調査 現地説明会資料』(2015年6月20日)
  • 京都一周トレイル会 『京都一周トレイルコース公式ガイドマップ東山』 京都市産業観光局観光MICE推進室 (2014年11月)
  • 林屋辰三郎 『桃山』 京都桃山ライオンズクラブ (1976年10月15日)
  • 伏見稲荷大社付属講務本庁 『神奈備 稲荷山、祈りの山』 別冊大伊奈利 第2版(2015年5月15日)
  • 山本真嗣・編 『再版 伏見鑑上下巻』 桃高史学研究部 (1974年4月1日)
  • 山本真嗣 『伏見くれたけの里』 京都経済研究所 (1988年)
  • 山本真嗣 『京・伏見歴史の旅』 (新版) 山川出版社 (2003年)

当コーナーに使用した意匠は、伏見稲荷大社(京都市伏見区深草藪之内町)、御香宮神社(京都市伏見区御香宮門前町)の許可を得て、月桂冠が撮影した画像を含んでいます。