京の日本酒と和菓子

VOL.18 「上撰キャップエース」と「嵐山さ久ら餅」

「上撰キャップエース」と「嵐山さ久ら餅」

梅の花の盛りが過ぎ、まもなく桜の時期を迎える。酒好きなら、隠れ名所を訪れて、ひっそりと花見酒を楽しみたいところ。そんな時、恰好のお供となるのが「上撰キャップエース」だ。昔から愛されている月桂冠のスタンダード酒、「上撰」。ハンディサイズのボトルに入り、キャップをお猪口(ちょこ)として使えて、アウトドアでの飲用にぴったりだ。かつての大阪万博で大ヒットを巻き起こしてから、もう50年。長年親しまれ続けて、びん入り清酒(一合相当)の中では平成年間の売り上げナンバーワンを誇る。

「上撰は、どんな料理にも合う、ワイルドでしっかりしたお酒。麹は、米の芯まで菌糸を生やした力強いものを選びます。そうすると、発酵過程で酸味や甘みのバランスが整って、料理の味わいを損なわない、オールラウンダーな酒に仕上がるんです」と語るのは醸造部の森屋昇大(しょうた)さん。麹づくりを担っている。「米の水分調整は特に大切。季節や天候、米の状態に応じて適切に対応をするのは、感覚の世界です」と続ける。手間をかけて仕上げる「上撰」の自然な香りとまろやかな旨味は、常温で飲むと最もよくわかるそうだ。

造り手 醸造部 森屋 昇大

造り手

醸造部
森屋 昇大

さて、この「上撰キャップエース」によく合う和菓子に出会ったのは、実に嵐山。「鶴屋寿」の「嵐山さ久ら餅」だ。伊豆は大島桜の葉で挟まれた小ぶりの桜餅。葉の間にあるのは、白い道明寺餅で、さらりとしたこし餡が包まれている。ほどよい塩味のやわらかい桜の葉ごと、一緒にパクッといただく。なんとも上品な甘塩っぱさ。すかさず「上撰キャップエース」を口に含むと、口中は両者の麗しい風味がやさしく混ざり合い、絶妙のコンビネーションとなる。一緒に食すものを包み込む「上撰」の寛大な味わいが、この瞬間にまたうかがえる。

「嵐山さ久ら餅」/鶴屋寿

京都市右京区嵯峨天龍寺車道町30
TEL:075-862-0860

「嵐山さ久ら餅」/鶴屋寿

自宅でも戸外でも、気に入った場所に腰掛け、桜餅を頬張りながらお猪口で一杯。今年の花見の季節は、この2つを携えて楽しんでみよう。

上撰キャップエース

上撰キャップエース

キャップがそのままおちょこになる、ハンディサイズの楽しいお酒。

甘辛=中口、濃淡=中口
月桂冠オンラインショップ
ハンケイ500m

(VOL.060)2021年3月10日発行

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