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江戸から続く健康飲料甘酒の知られざる力

甘酒は古くから栄養価の高い飲み物として親しまれてきました。最近ではジャパニーズヨーグルトとも呼ばれ、その健康効果が注目されています。月桂冠総合研究所では、新たに甘酒のもつ3つの機能性をマウスを用いた実験により証明しました。 

甘酒のもつ3つの効果

研究テーマ マウスを用いた甘酒の機能性評価

【実験目的】

甘酒はアミノ酸などが豊富に含まれており、昔から栄養価の高い飲料として親しまれてきました。一方、我々は、清酒の原材料や副産物である麹や酒粕から様々な生理活性成分を単離同定してきました(参考文献1~4)。甘酒は酒粕と米麹を原料とし、それぞれの生理活性成分による機能性が期待されるだけでなく、その効果が相乗的に増大されることも考えられます。そこで、甘酒の機能性健康飲料としての可能性を明らかにするため、マウスを用いたin vivo試験を行い、各機能性を評価しました。

【実験結果および考察】

抗肥満試験

高脂肪食(牛脂粉末20%配合)誘発肥満モデルマウスを用い、以下の2群を設定しました。

・コントロール群:高脂肪食+カゼイン10%配合  
・甘酒摂取群:高脂肪食+甘酒10%配合

※甘酒摂取方法 
遠心分離した沈殿物については各食餌に10%配合し、上清は給水瓶を用いて自由摂取させました。

自由摂取条件下で2週間飼育試験を行い、体重増加・血中脂質・脂肪組織蓄積量を検討しました。その結果、甘酒を摂取させたマウスの体重増加量(図1)、および試験終了時の血清中性脂肪の濃度(図2)がコントロールに比べて有意に抑制されていることが分かりました。また、腹腔内白色脂肪組織の蓄積が抑制されているのも認められました。

図1:甘酒の体重増加抑制効果図2:甘酒の中性脂肪抑制効果

 

血圧上昇抑制試験

高塩分食(食塩10%配合)誘発高血圧モデルマウスを用い、以下の2群を設定しました。

・コントロール群:高塩分食+カゼイン10%配合
・甘酒摂取群:高塩分食+甘酒10%配合

※甘酒摂取法は抗肥満試験と同様

自由摂取条件下で飼育試験を行い、経時的に尾部カフ圧を測定しました。収縮期血圧(SBP)、平均血圧(MBP)、拡張期血圧(DBP)を比較して評価しました。その結果、試験期間中の甘酒摂取群の血圧は常にコントロール群よりも下回り、飼育50日目のDPBは有意に血圧上昇が抑制されました(図3)。

 

図3:甘酒の血圧上昇抑制効果

健忘症抑制試験

一時的に記憶障害を引き起こすスコポラミン投与した健忘症誘発モデルマウスを用いて、プラットホーム式水迷路遊泳試験により検討を行いました(参考文献5)。獲得試行によりプラットホーム迷路を学習させたマウスに対し、スコポラミン投与100分前に、コントロール群では整理食塩水を、甘酒投与群では甘酒(20ml/kg)を強制経口投与しました。スコポラミン投与後30分後と40分後にテスト試行を行い、学習記憶力の維持の程度を比較しました。学習記憶力は、プラットホームに到達するまでの遊泳時間で評価しました。その結果、甘酒投与により遊泳時間の短縮が認められ、スコポラミン投与による強制的な健忘症の誘発が有意に予防されることが判明しました(図4)。

プラットホーム式水迷路遊泳試験図4:甘酒の健忘症抑制効果

以上のようにマウスを用いた機能性評価試験により、甘酒には肥満、血圧上昇、健忘症の予防・改善効果があることが示唆されました。甘酒のこれらの効果は、主原料である酒粕、米麹をはじめとする清酒醸造に関与する多様な成分に起因するものと思われます。今回新たに見出された機能性によって、甘酒は誰でも美味しく手軽に摂取するのことができ、かつ生活習慣病の予防や改善に効果のある優れた健康飲料として再認識されることが期待されます。

【学会発表】

  • in vivoマウス試験による甘酒の機能性評価、日本農芸化学会、2003.4.2
  • マウスを用いた甘酒の機能性評価、日本醸造学会、2003.9.10
    ○鈴木佐知子、大浦 新、金森洋治、秦 洋二、川戸章嗣、安部康久(月桂冠総研)

【論文】

  • 清酒および副産物の機能性と生理活性成分、生物工学会誌、大浦 新、81、514-516 (2003)

【参考文献】

  1. 芦田ら、日本農芸化学会誌、71、137-143 (1997)
  2. Saito Y. et al, Biosci. Biotech. Biochem., 58, 812-816 (1994)
  3. Saito Y. et al, J. Agric. Food Chem., 45, 720-724 (1997)
  4. Yamada T. et al, Biosci. Biotech. Biochem., 62, 907-914 (1998)
  5. 山田ら、薬学雑誌、112、824-831 (1992)

(掲載日:2004年6月1日)

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