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調理に使われる清酒

和食の調味料として最も多く使われる清酒

清酒は和食を味わいながら飲まれるだけでなく、調理にも多く用いられる。特に日本料理店では、<お客さんが飲まれる酒よりも調理場で使う酒のほうが、ずっと多い>と言われる(村田吉弘氏・参考文献)。和食の調味料は、しょうゆとみりんを「1:1」の割合で使うのが基本とされている。煮物の場合「8」のだしを用い、「しょうゆ:みりん:だし」を「1:1:8」の割合で加えて煮る。特に魚を煮る場合、「8」のだしの内、酒を半量、さらに料理店の場合は全量を酒にされる。つまり、使用する調味料の40%ないし80%が清酒であり、酒の使用量はひじょうに多い。料理に使う酒の種類として、料理人は<飲める酒を使いなさい>と勧められており、パックやカップに詰められた普通酒で充分とされている(村田吉弘氏・参考文献)。

調理における清酒の役割

料理において清酒は、下調理から本調理まで多様な使い方がされている(中川典子氏・参考文献)。下調理では、「酒洗い」(酒にさっと浸して取り出す)、「酒をふりかける」(肉類や魚貝類にふりかける)、「浸す」(酒としょうゆを半量ずつ加えたものに浸す)などで下味をつける。本調理では、「煮る」(酒煮)、「蒸す」(酒蒸し)、「炒める」(熱い鍋肌に酒をまわすようにかける)ことなどに用いられる。味をやわらげたり、味つけごはんの炊きあがりやご飯に芯があるときにふりかけたり、固い肉類を浸し柔らかくすることなども用いられる。

調理における清酒の役割としては、煮汁の味わいを日本酒のアルコール分を仲立ちにして料理に染み込ませたり、臭みの成分を抑えたり蒸発させる効果がある。その効果には、アルコール分の<食材組織・細胞への浸透作用が大きく関わっている>といわれ、<酒の主成分である(エチル)アルコールの理化学的性質が水にも油にも自在に溶ける親水・親油両性化合物であること>に起因しているという(西谷尚道氏・参考文献)。このような「アルコールの浸透性効果」のほか、「呈味の付与効果」(酒のエキス分による直接的な呈味の付与のほか、まる味、かくし味など味の調和や焼きもののテリ、ツヤに関係する)、「香気の付与効果」(酒の香気成分による香気の付与や調和に関係する)、「成分の加熱変化効果」(アミノカルボニル反応などの加熱変化によるキツネ色の色調や香ばしい香りの付与、味のバランス調整ほか魚の生臭さのマスキングなどに関係する)といった効果が、清酒を調理に用いることにより生じる(西谷尚道氏・参考文献)。

清酒は、和食の調理に有意な効果を生じさせたり、同時に和食と合わせて飲まれるなど、「和食」文化に深い関わりを持っている。

(参考文献)

  • 中川紀子 「酒と料理」 『日本醸造協会誌』 第71巻、第2号、P74-76 (1976年)
  • 西谷尚道 「酒と調理」 『日本調理科学会誌』 Vol.30、No.2、p184-190 (1997年)
  • 村田吉弘 『割合で覚える和の基本』 日本放送出版協会 (2001年10月15日)
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