月桂冠酒香房

昔ながらの酒造り
月桂冠内蔵酒造場

月桂冠創業の地の一角、月桂冠大倉記念館の中庭を挟んで、その向かいに所在する内蔵酒造場(京都市伏見区本材木町、1906年建造)。蔵の名称は、月桂冠創業家である大倉家の本宅に隣接する内蔵形式であることに由来します。濠川沿いから眺めた内蔵は、酒どころ伏見を象徴する酒蔵風景として親しまれています。
酒蔵内には、四季醸造のミニプラントを前蔵から中蔵にかけて設けており、現在、但馬流の杜氏が昔ながらの手法で酒を醸しています。日本酒の寒造りが最盛となる厳冬期には、蒸米や発酵によって醸し出される香りがあたりに漂い、酒どころの雰囲気が一層高まります。

※製造場につき非公開

昔ながらの酒造り

蒸米

蒸米

適量の水分を吸水させた米を甑で約1時間蒸します。 小さな甑は200キログラム、大きな甑は2トンの米を蒸すことができます。

蒸し上がった米は、4分の1を約30度に冷まして麹づくりに、4分の3を5~10度に冷まして酒母やもろみの仕込みに用います。

麹づくり

麹つくり

麹蓋(こうじぶた)を使った昔ながらの麹づくり。麹は、麹菌を穀類に生やし、酵素を分泌させたものです。日本酒では、黄麹菌(きこうじきん)の胞子を種麹(たねこうじ)として、蒸した米にふりかけ約2日間培養することで酵素を生産させます。

酒母づくり

酒母づくり

アルコール発酵を担う酵母を培養して、大量に増殖させたものが酒母(しゅぼ)です。

モロミの発酵

モロミの発酵

日本酒になる前の発酵中の状態を「モロミ」といいます。「酒母」「麹」「仕込水」「蒸米」 を発酵タンクに仕込み、およそ20~30日間かけて発酵させます。発酵タンクの中では、米のデンプンが麹の酵素によりブドウ糖へと分解され(糖化)、そのブドウ糖は酵母によりアルコールへと変えられていきます(発酵)。糖化と発酵が同時に行われることから「並行複発酵」と呼ばれ、日本酒造りの特徴となっています。
蔵内には、かつて仕込みに用いていた木桶の中に鋼鉄製の発酵タンクを置いています。桶の側面に小窓を設けており、ガラス越しに、発酵で生じた泡の状態や炭酸ガスの動きなどをご覧いただけます。この仕込み桶1本から、約1,000リットル、一升びんで約550本分の原酒ができます。

月桂冠の醸し人

月桂冠の醸し人

内蔵酒造場では、米を蒸すための甑(こしき)や麹蓋など昔ながらの用具を使って大吟醸クラスの清酒を製造しています。この蔵で携わる相川元庸(あいかわ・もとつね)は、長年、但馬杜氏のもとで酒造りに従事し修業を積み重ねてきました。相川は、その経験の蓄積や学理の習得により、社員の酒造技能者でありながら、2013年、「杜氏」として但馬杜氏組合(兵庫県北部の美方郡などを出身地とする杜氏組合)から認定され、その技能を継承しています。

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