月桂冠総合研究所
研究内容
バイオの研究

「液体塩こうじ」に含まれる肉の青臭さ抑制成分の検証
-麹菌デフェリフェリクリシンに効果!ハナマルキとの共同研究-

研究背景

畜肉や魚肉を塩こうじで調理すると、肉質を柔らかくする・旨味を増加させるだけでなく、肉の臭みを低減することが知られています。食品を焼いたときに生じる主要な不快臭といわれるヘキサナールは、塩麴を用いることによって低減することが報告されています1)。ヘキサナールのグルコースへの物理的吸着が主要因と推定されていましたが、具体的な検証はなされていませんでした。

塩こうじに含まれる消臭成分の検証

そこで、本研究では塩こうじに含まれる不快臭低減候補物質について、ヘキサナール発生抑制効果を検討しました。月桂冠は麹菌デフェリフェリクリシン(以下、Dfcy)に関する技術協力、ハナマルキは各種評価試験をそれぞれ担当しました。塩こうじとしてハナマルキが開発した「液体塩こうじ」、コントロールとして「液体塩こうじ」と同濃度の食塩水、コントロールに各候補物質添加サンプルを用い、豚挽肉を調理した時のヘキサナールの発生量を測定しました。

グラフ:塩こうじに含まれる各成分とヘキサナール発生抑制効果
グラフ:塩こうじに含まれる各成分とヘキサナール発生抑制効果

*:Control(食塩水)を1としたときの相対値

Dfcy添加サンプルは、液体塩こうじと同程度の減少を示したことから不快臭減少に大きく寄与していることが示されました。また、サンマ魚肉を用いた試験でも官能評価で不快臭が低減したことから、Dfcyは畜肉だけでなく魚肉にも効果があることがわかりました。
以上の結果から、Dfcyの含有量を高めた「液体塩こうじ」は、不快臭低減効果がより高いことが期待されます。

学会発表

  • 液体塩こうじに含まれるデフェリフェリクリシンによる畜肉調理時のヘキサナール生成阻害、白井伸生1、戸所健彦2、石田博樹2、山本英作1(1ハナマルキ、2月桂冠)(ポスター発表)

参考文献

  • 1)ハナマルキニュースリリース(2021年1月29日)

(掲載日:2023年10月30日)