月桂冠総合研究所
研究内容
お酒の研究

まるでモモ!ふくよかな甘味とみずみずしい酸味を持つモモの果実感を感じられる日本酒を開発
~9年の歳月をかけ開発、ピザなど幅広い料理と相性も良好~

図 果月 桃

開発の背景

甘酸っぱい味わいで、バナナやリンゴのような吟醸香の高い日本酒がトレンドとなっています。しかしながら、吟醸香以外の新たな香りについての研究開発や商品化は十分にはなされてきませんでした。そこで、「日本酒×果実」の可能性に着目し、新しい香りを切り口とした新感覚の日本酒開発に取り組むこととしました。

モモのような香りがすると訴求している市販の日本酒を分析したところ、モモ果実と比較して、モモに特徴的な甘い花のような香り成分の濃度が低いことがわかりました。モモに含まれるこの甘い花のような香り成分は、日本酒と同じ醸造酒であるビールやワインに含まれることが知られており、日本酒でも醸造により高生産できるのではないかと考えました。

検討

ビール、ワインと日本酒とでは、原料から、酵母による発酵工程、発酵後の製品化までの工程が異なります。そこで、日本酒に最適な月桂冠独自の酵母を選ぶこと、次に香りだけでなく味わいも本物のモモに近づけるように甘味と酸味のバランスを検討し、さらに原料から各製造工程を見直しました。工程の見直しや、満足のいく日本酒を開発するのに足掛け9年の時間を要しました。

結果

試作した日本酒は、モモ果実と同程度のモモの香り成分を含んでいます。モモのような香りがすると訴求している市販品を含むさまざまな日本酒と比較しても3~20倍も高いことがわかりました。本物のモモの果実のような、ふくよかな甘味とみずみずしい酸味を持つ「新しい」果実感の日本酒を実現することができました。

図 モモの香り成分の比較(モモ果実を100%とする)
図 モモの香り成分の比較(モモ果実を100%とする)

研究員からのおすすめの飲み方

官能評価試験では、ピザとの相性が良い結果となりました。トマトソースのフレッシュでジューシーな香りが引き立ち、まろやかな旨味がふくらみます。