研究内容
デフェリフェリクリシンによる尿酸値低減作用
デフェリフェリクリシン(Dfcy)には抗酸化作用があるものの、尿酸生成に関与する酸化酵素であるキサンチンオキシダーゼ(XOD)を阻害せずに、血中尿酸値を低減させる作用があることを明らかにしました。
[1]マウスへのDfcy短期投与試験
痛風の原因となる高尿酸血症は、酸化酵素であるキサンチンオキシダーゼ(XOD)によって尿酸が過剰に生成されることによって起きます。これまで月桂冠総合研究所では、デフェリフェリクリシン(Dfcy)に抗酸化作用などの様々な機能があることを明らかにしてきました。そこで、DfcyがXODを阻害して、血清中の尿酸値を低減させることを想定して検討を行いました。
まず、マウスを3群にわけ、通常水、0.2%Dfcy水、1.0%Dfcy水をそれぞれ投与したところ、Dfcy摂取群では摂取前と比較して尿酸値が低減することがわかりました(図1)。

[2]マウスへのDfcy長期投与試験とXOD活性測定
また、9週間の長期投与試験においても、有意に血清尿酸値を低減させる作用がDfcyにあることが明らかとなりました。
最後に、血清中のXOD活性を調べたところ、DfcyはXOD活性を阻害していないことが分かりました。
以上から、Dfcyは既存のXOD阻害剤と組み合わせて、より効果的に尿酸値を低減させる可能性があると言えます。
学会発表
- 麹菌が産生する環状ペプチド デフェリフェリクリシンによるマウス血清尿酸値の低減効果、日本農芸化学会大会(2015)
○大浦新、村上直之、入江元子、堤浩子、秦洋二
特許
- 特許第6342349号、【発明の名称】血中尿酸低減剤および医薬品
参考
- 1) 試験条件については、上記特許を参照。
(掲載日:2018年11月7日)