月桂冠総合研究所
研究内容
美と健康の研究

甘酒による美肌効果を確認!(神戸女学院大学との共同研究)

甘酒

甘酒はアミノ酸やビタミンなど多くの成分を含み栄養価の高い飲料として親しまれ、“飲む点滴”とも言われています。そこで、甘酒の機能性を調べるため神戸女学院大学(高岡素子教授)との共同研究により甘酒を継続的に(4週間)飲用した効果について検証しました。甘酒の量を変えて飲用した場合、肌の状態においては腕・首のキメが整う結果となり、水分蒸散量が抑えられ肌の状態が良好になる効用があることを確認しました。

米麹から作られた甘酒の特徴

甘酒には米麹、あるいは酒粕と米麹を原料とする2種類があります。当社ではこれまで、酒粕と米麹を用いて作った甘酒(モデル甘酒)に、肥満抑制効果、血圧上昇抑制効果、健忘症抑制効果があることをマウス試験によって確認しました1)。今回、米麹だけを用いた甘酒について、その機能性を検証するため、ヒトでの効果について4週間飲用により確認しました。

[1]米麹甘酒の抗酸化活性

米麹:60℃のお湯(重量比 1:3)を混合後、糖化により米麹甘酒を作製し、その過程で経時的なサンプリングにより、DPPH法で抗酸化活性を測定しました。その結果、糖化後2時間で抗酸化活性が有意に上昇し、その後もわずかに上昇することを確認しました(図1)。

図1 米麹甘酒のDPPH法を用いた抗酸化活性
図1 米麹甘酒のDPPH法を用いた抗酸化活性

[2]米麹甘酒の長期飲用の美肌効果

女子大生を被験者として、米麹甘酒は6人に100g、別の6人に200gを就寝前に4週間、摂取していただきました。摂取前、摂取2、4週間後に肌の状態や体組成を測定しました。肌の状態は、両群とも腕・首のキメが整う効果が確認されました(図2)。

図2 キメ面積の変化
図2 キメ面積の変化率

本研究では、米麹甘酒を4週間継続的に飲むことで、首や腕のキメが整う効果がみられました。飲む量では100g摂取群より200g摂取群のほうが肌の水分量が高く、水分蒸散量が抑えられ良好な肌の状態となる傾向が見られました。よって、米麹甘酒を継続的に飲むことで、美肌への効用が期待されます。

学会発表

  • 甘酒の長期摂取による体組成と肌状態に対する影響 日本栄養・食糧学会(2016)
    ○篠井奈々子*、児島愛*、入江元子、堤浩子、高岡素子*
    (神戸女学院大学・人間科学*、月桂冠・総合研究所)

参考文献

  • 1) 大浦新ら、日本醸造協会誌、102(10)、p781-788(2007)

(掲載日:2016年12月14日)