月桂冠総合研究所
研究内容
美と健康の研究バイオの研究

甘酒や日本酒に含まれる麹菌成分・デフェリフェリクリシンの継続摂取により、肌の調子・肩こりなどを緩和することを発見

研究背景

麹菌の発酵食品である米麹、それを用いた甘酒や日本酒などの発酵食品には様々な健康と美容に関する研究がなされています。これまで、月桂冠総合研究所では、これらの飲料などに含まれる麹菌発酵生産成分・デフェリフェリクリシン(以下、Dfcy)に着目し、「肌のバリア機能改善」など体の外側から効用があることを皮膚のモデル試験で明らかにしてきました2)。その一方で、体の内側からの効果の検証はなされてきませんでした。

デフェリフェリクリシン(Dfcy)を含む飲料の継続摂取による検証

そこで甘酒のようにDfcyを継続的に摂取した場合、体の内側からどのような健康と美容に関する作用があるかを検証することとし、Dfcy含む飲料の作成(月桂冠担当)と、ヒトモニター試験(北海道情報大学担当)を行いました3)

グラフ:Dfcy摂取による肌の乾燥への影響
デフェリフェリクリシン_表

ヒトモニター試験での検証の結果、Dfcyを含まない飲料(プラセボ)と比較して、Dfcyを含む飲料(被験食群)を摂取したグループは肌の調子(「肌の調子」、「肌の乾燥」と「目の下のクマ」)と、身体的疲労感(「肩がこる」と「頭が重い」)が統計的に改善されていることが明らかとなりました4)。代表的な結果をグラフに示します。また、睡眠時脳波について行ったところ、睡眠時の覚醒回数が減ることが分かり、睡眠の質を改善している可能性があることも示されました5)

今回の試験結果では、体の外側からの作用による肌の改善が、体の内側からの作用にも同様にあったことを初めて明らかにしただけでなく、身体的疲労感や睡眠の質改善まで様々な効用があることを明らかにしたものです。また、米麹を含む発酵食品を摂取することでこれらの効用が得られる可能性を併せて示すことができました。
今後は、Dfcyの新しい生理機能を解明するだけでなく、Dfcyをより多く含む米麹の技術開発や、開発した米麹を用いた新商品開発に繋げていく予定です。

  • 1:本研究は戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」(管理法人:生研支援センター)によって実施された。
  • 2:Dfcyをヒトの皮膚細胞に作用させたところ、フィラグリンという肌バリアに関与するタンパク質生産が増加することを報告した。本試験は体の外側から皮膚に作用させて評価することに相当する(月桂冠2021年3月18日付ニュースリリース)。
  • 3:麹菌発酵物を含むDfcyを溶解した飲料170mL/日を摂取条件とした。日本人女性20名をモニターとし、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を行った。
  • 4:便、肌などの調子に関する12項目の変化をVAS(Visual Analogue Scale)により評価し、有意差検定を行った。
  • 5:脳波計を装着して睡眠し、覚醒・レム睡眠・ノンレム睡眠の経時変化を測定。覚醒時間が長くなると、夜中に目が覚めたり朝早く目が覚めたりすることに繋がり結果的に睡眠の質が低下すると言われている。

学会発表

  • デフェリフェリクリシン高含有麹菌発酵エキス飲料の継続摂取による軽度不調緩和への影響、〇柏原宏行1)、鈴木佐知子1)、石田博樹1)、西平順2)、山本(前田)万里3)(1月桂冠・総研、2北海道情報大学、3農研機構)、日本農芸化学会大会(2023)

(掲載日:2024年2月20日)