月桂冠総合研究所
研究内容
お酒の研究美と健康の研究

大吟醸辛口をイメージしたノンアルコール日本酒テイスト飲料「スペシャルフリー辛口」の開発
~お客様の声にお応えし、甘さ控えめのアイテムも開発~

「日本酒が飲みたくてもアルコールが含まれるので飲めない」。そんなお客様の声にお応えして、月桂冠では2019年、ノンアルコール日本酒「スペシャルフリー」を商品化しました。「スペシャルフリー」は、日本酒の中でも人気の高い大吟醸酒を彷彿とさせるテイストで、フルーティな香りと甘味を感じるコクが特長の商品です。様々なマスメディアに取り上げられたり、SNS上で話題となったりしています。一方で、お飲みいただいたお客様には「甘さ控えめのタイプも欲しい」という意向があることがわかりました。そこで今回、大吟醸らしい香りはそのままに大吟醸辛口のテイストをイメージした、ノンアルコール日本酒「スペシャルフリー辛口」を開発しました。

イメージ画像

大吟醸辛口をイメージしたノンアルコール日本酒の開発

まず、「スペシャルフリー」のレシピから「甘味」のみを除くことで、大吟醸辛口を再現しようと試みました。しかしながら、全体的に味が薄くなってしまい、満足のいく大吟醸辛口の香味を再現できませんでした。
そこで大きく発想を転換して、これまでのノンアルコール日本酒やリキュール開発の経験を生かし、他の成分で補いつつ、香味を整えることにしました。

引き算のアプローチ / 補うアプローチ

50種類以上におよぶ素材を用いて、200回以上、組み合わせの試作を重ね、甘味が低くても満足感のある大吟醸辛口を実現、「スペシャルフリー辛口」を完成することができました。

新しい官能評価による味わいの評価

日本酒の味わいの指標の一つに、日本酒度と酸度から算出することができる甘辛度と濃淡度があります。しかしながらこの指標は、アルコールを含む日本酒を評価するものであることから、ノンアルコール日本酒の評価に適用できませんでした。そこで、新しい官能評価法(TDS法*)を用いて当社の代表的な日本酒と比較しました。下図は、得られたデータを主成分分析しマッピングしたものです。

図 ノンアル日本酒の味わい評価
図 ノンアル日本酒の味わい評価

「スペシャルフリー」は、甘口の「THE SHOT 艶めくリッチ 本醸造」のグループに、「スペシャルフリー辛口」は、ドライ系の「THE SHOT 華やぐドライ 大吟醸」に近く、辛口の「糖質ゼロ」や「上撰 辛口」のグループに属することがわかりました。このような新しい官能評価方法を用いることにより、ノンアルコール日本酒においても甘辛の評価をすることができた事例となります。

開発担当者おすすめの飲み方

開発担当者のおすすめは、「スペシャルフリー」または「スペシャルフリー辛口」を炭酸水で割ったノンアルコール日本酒スパークリングと、ライムジュースで割ったノンアルコールのサムライロックです。
また、色の変化を楽しめるバタフライピーのハーブティーや、美容や疲労回復に良いとされるローズヒップ&ハイビスカスティーで割ったノンアルコールカクテルもおすすめです。
お正月には、スペシャルフリーに屠蘇散を加えたノンアルコールお屠蘇もお試しください。

日本酒テイスト飲料、開発の歩み

月桂冠ではこれまで、日本酒の代替品というだけでなく、美味しさと機能性をもつノンアルコール日本酒を追求してきました。2014年9月にアルコール分「0.00%」の「月桂冠フリー」を上市、2015年9月には、アルコール分「0.00%」・糖質「0g」**・カロリー「0kcal」***にリニューアルした「月桂冠NEWフリー」を上市しました。2019年8月には大吟醸酒の香味をイメージした「スペシャルフリー」を、そして2021年9月、多様な味わいを求めるお客様のニーズにお応えすべく「スペシャルフリー辛口」を新たに発売、日本酒テイスト飲料のラインナップ拡充を図りました。

スペシャルフリー、月桂冠NEWフリー
月桂冠のノンアルコール日本酒テイスト飲料。写真左から、「月桂冠フリー」「月桂冠NEWフリー」(以上2アイテムは終売)と、「スペシャルフリー」

* TDS法(Temporal Dominance of Sensations)とは官能評価方法の一つで、味覚の時間経過を数量化し、「味わいの変化」を測定することができる評価方法。
**食品表示基準に基づき、100mLあたり糖質0.5g未満を糖質0(ゼロ)と表示しています。
***食品表示基準に基づき、100mLあたり5kcal未満をカロリー0(ゼロ)と表示しています。

(掲載日:2021年9月6日)