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飲酒運転防止!事故につながる理由、防止対策 酒に強くても鈍る、動作や判断

飲酒運転防止!事故につながる理由、防止対策
酒に強くても鈍る、動作や判断

飲み方・使い方を知る - 酒と正しくつきあう

飲んだ量の多少に関わらず飲酒運転をしてはいけません。「ちょっとしか飲んでいないから」「少し休んで醒ましたからいいだろう」「よく知った道だから、近くだから大丈夫」と運転するのは禁物です。
自分では酔いを自覚していなくても、反応が遅れたり、周りの状況を見ていないということが実験で確かめられています。ひとたび運転者の制御能力が低下すれば車は凶器に変わってしまいます。
飲んで運転する側は、一杯ぐらいだったらと軽いつもりでも、それが死傷を招き、家庭を破壊させることにもつながる恐れがあります。飲酒運転は絶対にやめましょう。

飲酒運転が事故につながる理由

少量の飲酒でも危険

酒気帯び運転、酒酔い運転にあてはまらない少量の飲酒でも、死傷を含む事故が発生しています。「飲んだ量が少ないので大丈夫」「自分は酒に強いので少々飲んでも大丈夫」「すぐ近くだからかまわないと思った」ではすまされず、重大な事故につながる恐れがあります。
科学警察研究所交通安全研究室の実験によると、少量の飲酒でも運転者の認知・判断能力を低下させることが確認されています。酒気帯び運転となる、呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム(血液1ミリリットル中のアルコール濃度0.3ミリグラムに相当)に満たない状態でも、反応が遅れたり、視野が狭くなり、目前の動きだけ見て、周りの様子を見ていないなど、運転者への影響が認められています。
ほろ酔いの段階でも、アルコールで大脳の新皮質と呼ぶ部分が麻痺して抑制が外れ、スピードオーバーなどの危険な運転行動が表れやすくなります。

酒に強い人でも弱い人でも同じ

酒に強いと自覚している人なら大丈夫かというと、そうではありません。酒に強いか弱いかに関係なく、同じ飲酒量であれば動作や判断に及ぼすアルコールの影響は一定です。
アルコールは摂取すると、まず、ADH(アルコール脱水素酵素)という酵素の作用でアセトアルデヒドになります。さらにアセトアルデヒドはALDH(アルデヒド脱水素酵素)という酵素の作用により酢酸へと変化します。一連の代謝の過程でできるアセトアルデヒドにより、赤面、吐き気、頭痛、脈拍数の上昇などの症状が表れ、酔っていることを自覚できます。しかし酒に強い人はこのような症状が表れにくいため、自分では酔いの程度を低く評価してしまいます。酔いの自覚はあまりなくても、実際にはアルコールの影響で動作や反応が鈍っています。
また、アルコールの影響は、飲酒量が多くなるほど、飲み始めてから時間が経つほどに表れてきます。アルコールが脳に到達し、酔いがまわるのは飲み始めて30分から1時間かかります。飲み始め、飲んでいる最中には何ともなくても、しばらく時間が経ってから影響が出始めます。また、酒に酔った状態では「正常な運転ができない」ということも自覚できず、危険です。

酔いが醒めるまでの時間

日本酒1合(180ミリリットル)、ビール大びん(633ミリリットル)1本、焼酎0.6合(110ミリリットル)、ウィスキーのダブル1杯(60ミリリットル)を目安に、それぞれアルコール摂取量の1単位とされています。1単位はアルコール分100%に換算すると23グラム前後です。
体内でアルコールが処理される速度は、体重1キログラムにつき1時間で0.1グラムといわれています。たとえば体重60キロの人が、1単位のアルコールを30分で飲んだ場合、3時間体内にとどまります。日本酒なら3合(540ミリリットル)飲むと3単位になり、アルコールが代謝され体内から消えるまで8~9時間もかかるといわれています。大量に、夜遅くまで飲んだ場合は、翌朝になっても酒が残っていることになります。
また、アルコールの処理速度は、年齢や性別、体質やその日の体調などによっても異なります。酒に弱い人などはさらに長い時間、アルコールが体内にとどまります。老齢の方は年を重ねるにつれて肝機能が低下し、酒が残りやすくなっています。
飲んだあとに少し休み、自分では醒めたと思っても、実際には酒が残っていることがあります。「一晩寝たから」「日付が変わったから」飲んでも良いとは必ずしも判断できません。翌朝運転される方は、前日に深酒しないようにするなど、飲むところから自分で管理することが必要です。少しでも懸念がある場合には絶対に運転しないでください。

【参考・引用文献】
  • 「少量でも危険 飲酒運転」『ニュースウォッチ9』NHK総合テレビ、2006年9月13日放送
  • 科学警察研究所交通安全研究室 「低濃度のアルコールが運転操作等に与える影響に関する研究調査」
  • 重盛憲司、原田幸男『お酒と健康を考える 受講者のためのサブノート』 社団法人アルコール健康医学協会、1999年
  • 社団法人日本損害保険協会「飲酒運転防止対策シンポジウム in 名古屋」、2006年4月21日開催
  • 社団法人日本損害保険協会 「あなたの職場は大丈夫!? 飲酒運転防止マニュアル」
  • 藤田悟郎「飲酒運転の危険性と再発防止策」『予防時報』216号、2004年

車のイメージ

酒を提供した人、同乗者にも問われる責任

飲酒運転になることを知りながら酒をすすめたり、販売・提供したり、車を貸したりすることは違法行為を手助けすることになります。絶対にしてはいけません。飲酒運転の車に同乗し送迎させたりすることも同様です。周囲の人たちが飲酒運転をやめさせ、タクシーや代行運転などを利用するよう促しましょう。
道路交通法(第65条)では、酒気を帯びて車両等を運転することとなるおそれのある者に対し、「車両等を提供してはならない」「酒類を提供し、または飲酒をすすめてはならない」、酒気帯び運転の車両に「同乗してはならない」としています。

飲酒運転に対する厳罰化

飲酒運転が社会的な問題として取り上げられる中、2001年には「危険運転致死傷罪」が新設され、2007年6月成立した「改正道路交通法」(同9月19日施行)では、「自動車運転過失致死傷罪」が新設され、飲酒運転者への罰則強化に加え、飲酒運転するおそれのある者への酒類や車両の提供、運転者が酒気を帯びている車に同乗した場合など、飲酒運転を助長した周辺者についても処罰されるようになりました。2013年には、「自動車運転死傷行為処罰法」が成立しました。

車両を提供、酒類を提供、飲酒運転の車に同乗しても

自分が運転しなくても、車両を提供者した場合や、飲食店などで飲酒運転をするおそれのある者に酒類を提供した場合、その提供を受けた者が「酒酔い運転」や「酒気帯び運転」をすれば、道路交通法により罰金が科せられます。運転者が酒気を帯びていることを知りながら、要求・依頼して酒酔い運転の車両に同乗した場合でも同様に、罰金がそれぞれ科せられます。
運転者だけでなく、関わるすべての人たちが注意し合って、飲酒者に運転をさせないようにしなければなりません。

【参考・引用文献】
  • 社団法人日本損害保険協会 「飲酒運転防止対策シンポジウム in 名古屋」、2006年4月21日
  • 社団法人日本損害保険協会 「あなたの職場は大丈夫!? 飲酒運転防止マニュアル」
  • 交通安全シンポジウム「なくそう飲酒運転」(主催:内閣府、2006年12月19日開催)
  • 財団法人全日本交通安全協会「ハンドルキーパー運動」(チラシ)
  • 財団法人全日本交通安全協会ウェブサイト、飲酒運転追放「ハンドルキーパー運動」の実施について
  • 「飲酒運転の根絶に向けて 2改正道路交通法の概要(飲酒運転に対する厳罰化)ほか警察庁ウェブサイトを参照。
  • 「飲酒運転・飲酒事故の罰則化へ さらなる法改正!」 アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)ウェブサイト

飲酒運転の防止対策

飲酒を伴う会合・宴会では、幹事さんをはじめ、参加する人たち同士も注意し合って、飲酒運転を起こさないようにしましょう。飲食店では酒を提供する前に、車を運転して来られていないかどうかを確認し、対象者には酒の提供を断りましょう。一杯でも酒を飲まれた方には、タクシーや代行運転などでの帰宅を促します。幹事の方は代行運転などを手配し、帰宅手段が確認できるまでキーを預かってください。参加者が無事に帰宅されたか、二次会以降の行動にも注意するようにしましょう。
日頃からの注意も必要です。よく飲まれる方には、酒びたりで過度の飲酒になっていないか、職場や家庭でよく見守り、適正な飲酒となるよう促すことが大事です。特にアルコール依存症(アルコール使用障害)が疑われる場合には注意が必要です。

ハンドルキーパー運動推進のロゴマーク▲ハンドルキーパー運動推進のロゴマーク(財団法人全日本交通安全協会ウェブサイト:飲酒運転追放「ハンドルキーパー運動」の実施についてより)

【車で参加された場合はキーを預かる】

まず宴会が始まる前に、車で来られた方がいないかを確認してください。車で来られた場合、飲食店や幹事の方が必ずキーを預かりましょう。

【運転者席を設け、ソフトドリンクを準備する】

宴席では運転者席を設け、その席の方たちには酒を注がない、飲ませないよう、会の冒頭でアナウンスします。お茶、清涼飲料、ノンアルコール飲料などソフトドリンクを準備して、皆で楽しめるように配慮しましょう。 飲食店では、「車を運転して来られた方は飲酒をご遠慮願います」「運転者の飲酒はお断りします」などの表示を飲食店内に掲示して注意を呼びかけたり、あらかじめ運転役を決めておき、その方には目印となるワッペンやシールを渡すなどして、酒類を提供しないようにされている例もあります。

【指名ドライバー方式とハンドルキーパー運動】

飲酒に向かう前に、「送り役の運転者」を決めます。ワッペンなどで識別し、この方には飲食店側は酒を提供せず、参加者も酒を注がないようにする試みです(指名ドライバー方式)。
財団法人全日本交通安全協会では「ハンドルキーパー運動」として、仲間同士で飲食店に行く際は酒を飲まない運転役を決めておき、飲酒運転を防止する取り組みを推進しています。「酒を飲まない人(ハンドルキーパー)が、大事な自動車のハンドルを握り(キープし)、飲酒運転によって生じうる全ての人の命を守る(キープする)」という意味がこめられています。
アメリカのプロ野球球団・ホワイトソックスでも、指名ドライバー方式での来場・観戦を呼びかけています。

【日常の注意】

アルコール依存症(アルコール使用障害)は、長時間アルコールにさらされている人が、いったん飲用をやめ、体内のアルコール濃度が低くなった時に飲みたいという欲求が抑えられなくなり、さらにまた酒に手を出してしまうものです。このような症状には専門医による治療が必要です。職場での検査をくぐり抜け運転業務に従事し、運転中の飲酒、蛇行運転のすえ事故が発生した例も見られます。厳罰に処すだけで治療や教育が行われなければ、何度も繰り返すことになってしまいます。本人は必ず治療を受けると共に、酒びたりでアルコール依存症(アルコール使用障害)に近い状態となっていないか、症状が進行していないかを周囲の方も見守るようにしましょう。

【参考・引用文献】
  • 社団法人日本損害保険協会「飲酒運転防止対策シンポジウム in 名古屋」、2006年4月21日
  • 社団法人日本損害保険協会 「あなたの職場は大丈夫!? 飲酒運転防止マニュアル」
  • 交通安全シンポジウム「なくそう飲酒運転」(主催:内閣府、2006年12月19日開催)
  • 財団法人全日本交通安全協会「ハンドルキーパー運動」(チラシ)
  • 財団法人全日本交通安全協会ウェブサイト、飲酒運転追放「ハンドルキーパー運動」の実施について