日本酒の保管方法
光の当たらない涼しい場所で、容器は立てて
よくいただくご質問 - [Q&A]日本酒全般
日本酒は、光の当たらない涼しいところ(20度前後)で保管してください。光(紫外線)や温度の影響を受けると、色や香味が変化しやすくなります。風通しの悪い場所や、冷蔵庫の横、流し台の下など温度が高くなりそうな場所は避けてください。
また、びんか紙パックかにかかわらず開栓後の商品は、確実にキャップを閉め、こぼれないように容器を立てて保管してください。
吟醸酒の繊細な香味、生酒のフレッシュさを楽しむために
酒のタイプ、それぞれの持ち味を楽しむために、保管の温度、場所などの条件に配慮することが重要です。特に、吟醸酒など繊細な香味を楽しむ酒や、フレッシュな風味が特徴の生酒などは冷蔵保管をおすすめします。
保管状態により、美味しくお召し上がりいただける期間は長くも短くもなります。温度が高いところや直射日光の当たるところで保管された場合は品質劣化が速く、賞味期間は短くなってしまいます。酒の種類や含まれる成分の多い少ないによっても品質変化の速度が左右されます。
光と温度に注意
日本酒は、数時間日光にさらすだけで急激に着色し、「びん香」と呼ばれる劣化臭が発生します。直射日光だけでなく、室内の散乱光や人工照明でも悪影響を受けます。これは紫外線の影響により、酒中のビタミンをはじめとする微量成分や有機酸の分解などの変化が生じるためです。特に透明のびんに入った商品には注意が必要です。透明びんに比べ、褐色やエメラルドグリーン色のびんの方が紫外線を通しにくいので、「びん香」が発生しにくいことが確認されています。ただし、同じ色付きのびんでも、紫外線を通す材質もあるので注意が必要です。 さらに、30度ほどの高い温度に幾日も晒された場合でも、劣化の進行は速くなります。
▲ガラスびんの透過率曲線
酒の劣化を防止するには
ガラスびんの透過率(光を通す割合を表す)をみると、褐色びんやエメラルドグリーンびんは、紫外線(波長400ナノメーター以下の光)を通しにくいといえます。
日本酒のびん詰が普及し始めた大正の終わり頃(1920年代後半)、醸造試験所の江田鎌治郎技師や月桂冠の森川一二技師(元常務)が、「着色、びん香の防止には、褐色びんが最良」と指摘、月桂冠では1928年(昭和3年)、いち早く褐色びんを採用し、品質の保持に努める契機となりました。
びん容器に、紫外線をカットする素材をコーティングやシュリンクするなど、酒が劣化しないように配慮された商品もみられますが、日光・蛍光灯などの紫外線が当たらず、温度の低い場所(20度以下)で、酸素との接触を少なくして、静かに保管することが肝心です。